ロシアのウクライナ侵攻を受けこれまで保ち続けてきた軍事的中立政策を転換し、NATOへの加盟を申請したフィンランドとスウェーデン。「北欧の小国」として取り上げられることも多々ある両国ですが、軍事的に「大国」である事実は日本においてあまり知られていません。そんな2国の実力を紹介するのは、ジャーナリストの伊東森さん。伊東さんは自身のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』で今回、フィンランドとスウェーデンという知られざる軍事大国の真の姿と両国がNATO加盟申請に至るまでの経緯、さらにNATOが彼らの加盟で得るものについて解説しています。
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知られざる軍事大国フィンランドとスウェーデンがNATOに正式に加盟を申請 一方でトルコは反対 今後のNATOの行方
北欧のスウェーデンとフィンランドが5月15日、NATO(北大西洋条約機構)への加盟を正式決定した。
スウェーデンはこの日、与党の社会民主党はNATOへの加盟を支持すると表明。それにさきがけ、フィンランドではサウリ・ニーニスト大統領とサナ・マリン首相が、NATOへの加盟申請を行うべきだという共同声明を発表、15日、正式に加盟の申請を発表した。
フィンランドとスウェーデンは、第二次世界大戦後、両国ともに“非同盟”を貫いてきた。しかし、ロシアが「特別軍事作戦」と称するウクライナ侵攻を行ったことにより、両国ともにロシアと今後、友好的な関係が続くか、不透明となる。
フィンランドは1917年にロシアから独立、第二次世界大戦時には、ソ連と二度交戦し、結果、領土の一部をソ連に奪われた。1948年にロシアと友好協力相互援助条約を締結。これにより、軍事的には他の西欧諸国とは切り離されることになる。
一方、スウェーデンは、この200年間、戦争をしていない。さらに戦後の外交政策において、国際的な民主主義の支援、多国間における対話、そして核軍縮を推進してきており、北朝鮮とも密接な関係をもつ。
しかしながら、両国のNATOの加盟において大きな壁となっているのが、トルコの存在だ。トルコのチャウシュオール外相は5月15日、会見で、テロ組織に指定しているクルド人武装組織のメンバーがスウェーデンとフィンランドで活動していることを批判したうえで
「両国はテロ組織への支援をやめなくてはならない。これは同盟を組むための条件だ」(NHK NEWS WEB、2022年5月16日)
と述べた。
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目次
- フィンランドの場合
- スウェーデンの場合
- 知られざる軍事大国 フィンランドとスウェーデン
- トルコの思惑
- 今後の動向
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