力こそ正義?習近平は中国共産党と台湾の関係をどう考えているのか

 

もちろん、これが共産党のトップや指導者層の認識であり、中国人、特にウイグルなどを含めた多くの人々の総意ではないことは明らかでしょう。

しかし、そのようなことを宣言することができるくらいに、中国共産党の上層部は安定しているということになります。

同時に、そのようなことを言葉にして宣言しなければならないほど、中国共産党内部で習近平国家主席の立場は安定していないということになります。

少し複雑なので、まとめていえば、共産党の支配ということは固まっているのかもしれないが、共産党内部での習近平国家主席の天下が安泰であるとは限らないということになるのです。

そして、ここで中国共産党が勝利して中華人民共和国が成立したことこそ、貧しく立ち遅れ、人口が極めて多い東方の大国が社会主義社会へと飛躍的していく大きな一歩であり、また中華民族が偉大なる復興を遂げる上での根本的な政治的前提、基礎となったとしています。

社会主義でなければ中国を救うことはできず、また社会主義でなければ中国を発展させられず、そして中国共産党でなければ中国を導くことはできない、という論理がそこには見られるのです。

第三に、改革開放の部分は、「我々は新中国成立以来、党の歴史において最も深遠な意義のある偉大なる転換を行」ったとされ、「党が社会主義の初級段階にあるという基本路線を確立し、改革開放を強い意志の下に推進」されたとしています。

つまり、改革開放もまた、あくまでも社会主義の下にある歴史展開であるということになります。

「高度で集中的な計画経済体制から、活力に満ちた社会主義市場経済体制へと、また閉鎖的、半閉鎖的な状態から全方位的で開放的な状態へという歴史的な転換を遂げ」たということになっているのです。

実際に、政治や経済の改革開放と共に、教育の改革開放も1970年代に行われています。

教育の改革開放によって、中国の大学や高等教育は英語や外国語を学べるようになりましたし、市場主義経済の経済学などを取り入れるようになりました。

また、中国人がアメリカや日本に資本主義や法制度などの「文系科目」つまり「社会システム」を学ぶために、留学しに来ていたのです。

逆に言えば、中国共産党政府は、それだけ計画的に「社会システム」「経済」「市場」というようなことを学び、そのうえでここ数年になって「科学技術」「IT」などを学んでいるということになります。

社会システムなどの「文系科目」に関しては、「産業スパイ」のような内容はありません。

そのことからあまり大きな問題にはならなかったと思います。

しかし、今日になって、無体財産権や科学技術ということを「スパイ的に盗む」ということになると、これは穏やかではないということになるのです。

同時に、法制度や経済を学びながら、それを取り込むのではなく、それを利用して相手国を交錯するというようなことになってきているのですから、あまり良い話ではないのかも知れません。

その他にも、マスコミなどの利用の方法を学んでいることは間違いがないようです。

この7月の演説の中では、GDPが世界第2位になったとか、中国社会を「総体的な小康」へと導いたとかいったことが成果として挙げられますが、改革開放もまた中国共産党、社会主義の発展という主旋律の中に位置付けられていることに変わりはないのです。

さて、このような資料から導き出されることはいったい何でしょうか。

(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2022年6月13日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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