力こそ正義?習近平は中国共産党と台湾の関係をどう考えているのか

 

第一に、冒頭で5,000年以上にわたるとされる中華民族の過去に、次いで1840年のアヘン戦争に言及しています。

それにより、中国が半植民半封建社会に陥ったと解釈しています。

これは、アヘン戦争という軍事的な行為によって中国全土が反植民地的な状況になったという「侵略される側の論理」があったことを言っているのです。

そのうえで、中国共産党は「強くなければ、同じような歴史を繰り返す」という認識を持っていることがわかります。

この事は、これまで習近平国家主席だけではなく、他の国家主席も同様のことを言っていたので、伝統的革命史観の叙述を継承したものだと言えるのではないでしょうか。

その後、太平天国運動、戊戌変法、義和団運動、辛亥革命などが挙げられ、「各種の救国方案が順番に提起されたがいずれも失敗に終わった」などと言っています。

つまり、一度植民地的な内容になってしまうと、それを撒き返すのは難しいということを言っているのです。

そのために、「中国は国家の滅亡を救う運動を牽引する新しい思想や、革命の力量を凝集していく新たな組織が、とりわけ必要とされ」、その必要性もあって1921年に中国共産党が登場したということになっています。

その結果、中国共産党の成立は、マルクス・レーニン主義との関係性、すなわちマルクス・レーニン主義と「中国人民と中華民族の偉大なる覚醒」との結合によって導かれた、と主張しているのです。

要するに、辛亥革命によってなされた中華民国は、弱者の歴史を反転させることができなかったということになります。

そして、それは一部の指導者が躍起になっただけで、中国人民全体が覚醒していなかったからであるということになるのです。

その人民全体の覚醒を得られたのは、中国共産党の成立と共産主義革命によるものであるとしています。

まさに、共産党がどうして中国の中で出てきたのかということを言っているのです。

欧米による半植民地状態、そして、それを反転させることのできなかった中国国民党、それらに嫌気がさした中国人民の総意に基づいて中国共産党が成立し、人民全体を覚醒させて、欧米を追い払ったということになるのです。

この事は、「中華人民共和国憲法の前文」にも記載されていることですから、その歴史認識を繰り返しただけであるということが言えます。

第二に、中国共産党の成立以後は新民主主義革命を成し遂げ抗日戦争へと至る過程として描かれ、北伐戦争、土地革命戦争、抗日戦争、解放戦争などが相次いだと主張しています。

この過程では中国共産党が人民を率いて、帝国主義、封建主義、官僚資本主義を打破したことが大きな成果だとされ、それが中国の半植民半封建状態を終わらせたということになります。

もっと端的に言えば、中国人民は、共産党の指導により戦争と革命によって「反植民地・半封建状態」を終わらせたのであるということを言っているのです。

まあ、ここによって、共産党の存在とその活躍を肯定するということになります。

この中に「解放戦争」つまり「国共内戦」もこの中に入っているということが特徴的です。

それにより、数千年続いた封建制度が崩れ、また帝国主義にも勝利したのであり、それこそ中華民族の有史以来最も広範で重大な社会変革なのだといいます。

逆に言えば、「国民党」つまり「現在の台湾」は封建主義・帝国主義の中国国内における象徴的な存在であって、それに勝利したことによって、中国人民は解放されたのであるということになっています。

世界の今が分かる、宇田川敬介さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ!

 

print
いま読まれてます

  • 力こそ正義?習近平は中国共産党と台湾の関係をどう考えているのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け