プロフェショナルによるイメージ戦略により、たやすくコントロールされてしまう我々の意識。商品やサービスのコマーシャルがその最たる例ですが、戦争に関しても、私たちは広告のプロたちにいいように騙されていることは確実なようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、湾岸戦争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で米国の広告代理店が展開したPR作戦を詳しく紹介。たとえ流される情報がフェイクであれ、彼らの「働き」が戦争の行方を左右するという空恐ろしい現実を記しています。
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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年6月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
戦争の行方を左右する「広告代理店」のマインドコントロール戦略/ゼレンスキーを操るのは誰か?
戦争にプロパガンダは付き物で、アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』(草思社文庫、2015年刊)によるとどちらの側も次のように言いたがる。
▼われわれは戦争をしたくなかった。しかし敵側が一方的に戦争を望んだのだ。
▼(だから)敵の指導者は悪魔のような奴だ(と判るだろう)。
▼われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う。
▼われわれの大義は神聖なもので、これは正義の戦いである。この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である。
▼(いや)われわれも意図せざる犠牲を出すことが(少しは)ありますよ。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる。卑劣な兵器や戦略を用いている……。
何やら、ごく最近も毎日のように耳にしてきた論法のようにも聞こえるが、これは英国の貴族の家柄でありながら労働党のリーダーになったポンソンビー卿が、第1次大戦中に英政府が行った「あらゆる国民に義憤、恐怖、憎悪を吹き込み、愛国心を煽り、『嘘』を作りあげ、広め」るための戦争プロパガンダの手法を分析して「10の法則」としてまとめたものの要約である。著者のモレリはベルギーの歴史家で、これらの法則が第2次大戦でもその後の戦争でも繰り返されてきた常習パターンであることを後付けている。
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