プーチンを裏切り激怒させた男。ロシアに反旗を翻した国はどうなるのか?

 

プーチンは、トカエフに恩を売った

プーチンがトカエフに激怒したのには、もう一つ理由があります。プーチンから見るとトカエフは「忘恩の男」なのです。

なぜ?

皆さん、「今年最大の事件」といえば、もちろん「ウクライナ侵攻」でしょう。しかし、今年1月、カザフスタンでも大きな事件がありました。そう1月2日から、燃料価格暴騰に反対する大規模デモが起こっていた。デモ参加者があまりにも多くなり、手に負えなくなったトカエフは、ロシアが主導する「集団安全保障条約機構」(CSTO)に派兵要求をします。

※ CSTOは、1992年に発足。ロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンが加盟しています

そしてCSTOの軍がカザフに入り、速やかにデモを鎮圧したのです。これ、ロシア人は、「CSTOは実質ロシア軍であり、ロシア軍が、トカエフを革命から救った」という認識なのです。

もう一つ。カザフスタンには、ナザルバエフさんという独裁者がいました。1991年から2019年まで、28年間も大統領を務めた。独裁者ですが、2000年代には、カザフスタン経済を急成長させ、人気が高かったのです。

急成長の理由は、「カザフが資源大国で、2000年代は原油価格が右肩上がりだったこと」です。この辺、プーチン・ロシアと同じ事情です。

ナザルバエフは2019年に大統領を辞めました。そして、トカエフさんが大統領になった。しかし、ナザルバエフは、大統領を辞めた後も、国家安全保障会議議長として、「院政」を行っていたのです。

カザフ国民と外国も、「トカエフは、ナザルバエフの傀儡大統領」と認識していた。当然、トカエフとしては面白くありません。そんな中、年初に大規模デモが起きた。そのドサクサにトカエフは、ナザルバエフを国家安全保障会議議長から解任したのです。

変な言葉になりますが、トカエフ大統領は、「事実上のクーデター」を起こし、ナザルバエフの院政状態を終わらせたのです(大統領がクーデターを起こすとは、ふつういいませんが)。

彼は、カザフスタンの「真の大統領」になりました。しかし、プーチンにいわせれば、「俺たちが容認したから、おまえ(トカエフ)は、ナザルバエフを失脚させることができたんだろう?」となります。実際、ロシア軍がナザルバエフについていれば、トカエフは失脚することになったでしょう。

プーチンは、

・大規模デモを鎮圧した
・ナザルバエフ失脚を容認した

この二つの「恩」で、トカエフを傀儡大統領にしようとしたのです。ところが…。

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