幕を開けた新冷戦。欧米日本vsプーチン習近平の時代を日本はどう生き抜くか

2022.07.03
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ウクライナ戦争を期に結束を高める西側諸国。一方のロシアも中国との関係性を深めるなど、世界の二極化が進行しています。これらの状況を受け、新冷戦時代の構図が従来の「米中の2国対立」から「欧米日本vs.中露の陣営対立」に変化すると読むのは、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、G7サミットやBRICS首脳会議等で発せられたメッセージを取り上げ、両陣営の対立がもはや避けられない状況であることを解説するとともに、我々日本国民が真剣に考えるべき事柄を提示しています。

新冷戦は米中対立ではなく“欧米日本VS中露”の陣営対立

ロシア・ウクライナ戦争が5ヶ月目を迎えた中、昨今の世界情勢を国際政治学者として眺めてくると、新冷戦と呼ばれるものは米中対立ではなく、“欧米日本VS中露対立”の様相を呈してきていると感じる。

6月26日から3日間、ドイツ南部エルマウでG7サミットが開催されたが、そこでG7諸国はロシアと中国へ対抗していく姿勢を改めて鮮明にした。G7諸国はロシアに対して、ロシア産金の輸入禁止など対ロシア制裁の強化で合意した。これまでG7諸国は石油やダイヤモンド、ウオッカ、魚介類などロシアの主力産品の輸入を停止してきたが、金を輸入停止にすることでロシア経済にさらなる打撃を与えるつもりだ。また、G7諸国は中低所得国に向けたインフラ整備に今後5年間で6,000億ドル(約81兆円)の投資していく計画を明らかにした。日本も650億ドル(約8.8兆円)以上を担うことを発表したが、これには中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗していく狙いがあることは間違いない。

近年はトランプ政権下の米国と欧州の亀裂が深まり、トランプ政権下の米国と中国との間で“1対1の経済戦争”が激化したことから、新冷戦と言えば米中対立を指す風潮があった。しかし、バイデン政権が欧州との関係改善を真っ先に進め、新型コロナの真相究明やウイグル人権問題、台湾問題などで欧州や日本と共に中国に対抗していく姿勢を重視するようになり、大国間対立の構図は“欧米VS中国”へ変化していった。そして、ロシア・ウクライナ戦争が生じたことにより“欧米vs.ロシア”の対立も一気に激化し、中国にとってロシアと戦略的共闘で接近する重要性が高まり、結果として“欧米VS中露”のような対立構図が色濃くなった。

そして、岸田政権発足以降、どちらかというとこれまで曖昧だった日本の姿勢はよりクリアーになっている。日米首脳会談だけでなく、頻度が増すクアッド会合や岸田総理のNATO首脳会合参加など、日本のロシアや中国へ対抗する姿勢、意思は内外に強く強調され、これまで以上に欧米と足並みを揃えるようになっている。これまでは中国やロシアとの経済、貿易関係などから、日本は米国と完全歩調を取ってきたわけではないが、岸田政権になって以降、日本の姿勢がクリアーになっているとの見解は内外の専門家からも聞かれる。

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