先進国では最下位。女性候補初の30%超も改善されない日本のジェンダーギャップ

 

新しい資本主義だけでなく「新しい民主主義」も必要

では、総合スコアの順位を徹底的に下げている要因は何か。それは「政治」です。

この分野で1位はアイスランド(0.760)、2位はフィンランド(0.669)、3位はノルウェー(0.640)であり、総合スコアの最上位3国のランキングに直に影響しているということが見えてきます。

日本以外のG7国は、ドイツ(0.509)10位、フランス(0.457)20位、英国(0.419)23位、米国(0.329)37位、イタリア(0.313)41位ですが、日本は、なんと桁違いの0.061で147位です。韓国(0.214)68位、中国(0.067)118位なので、東アジアでも最下位です。

「政治」スコアが韓国と肩を並べるだけで、日本のジェンダーギャップの総合スコアは、かなり改善しますし、G7国並みになれば総合ランキング上位が視野に入ってくると言えるでしょう。

2006年の時点での「政治」スコアは日本(0.067)83位、韓国(0.067)84位と同水準でした。ところが、2021年には韓国(0.214)68位で差が広まりました。2013年~2016年のパク・クネ政権により「政治」における「首脳」スコアの改善が理由でありましょう。日本の「政治」「首脳」スコアの0.000と比べ、韓国は0.104です。

ただ、「議会」スコア(日本0.110 韓国0.235)、「閣僚」スコア(日本0.111、韓国0.385)でもかなりの差が目立ちます。

「政治」分野で最上位3位は北欧国ですが、6位にルワンダが現れます。下院で女性が過半数を占めた世界初の国です。(現在は61%、上院は38%)。1990年代の国内紛争による大虐殺により、2003年に設置された新憲法(2015年に改正)では男女平等、女性の人権を担保するために全ての意思決定機関において女性比率30%のクオータ制が保障されているからです。

「政治」分野において「議会」スコア(1.000)と「閣僚」スコア(1.000)だけであれば、ルワンダは圧倒的な1位ですが、2000年に就任したポール・カガメの政権が継続しているため、「首脳」スコアが64位(0.015)で、「政治」スコアではトップの座を北欧国に譲っています。21世紀のルワンダは近代化が顕著に進み「アフリカの奇跡」と言われている国です。

さて、かつて「アジアの奇跡」であった日本では、7月10日に投開票される参院選において545人が立候補し、このうち女性候補者数は過去最多の181人、全候補者に占める女性候補者の割合も過去最高の33%になりました。

2020年に日本政府は「第五次男女共同参画基本計画」を閣議決定し、「2025年までに国政選挙の候補者に占める女性割合を35%」とする目標を掲げています。

ただ、現時点では肝心の与党がこの割合に達していません。自民党:19女性/82前候補(23.1%)、公明党:4/24(16.6%)、立憲民主党:26/51(50.9%)、日本維新の会:14/46 (30.4%)、国民民主党:9/22(40.9%)。

「新しい資本主義」の実行計画では、男女賃金ギャップを埋めるために企業の情報開示を促しましたが、日本では「新しい民主主義」も必要のようです。

現在の世界情勢において参院選後には憲法改正への議論も高まるかもしれません。自民党は現在、女性議員候補30%のクオータ制に反対しているようですが、候補ベースのみならず、就任ベースでも同クオータ制を設けることを合わせて討議すべきではないでしょうか。有権者として、少なくとも今回の参院選で迷った際には、女性候補に票を投じるべきありましょう。

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