健康診断ではわからない糖尿病予備群「食後高血糖」こそが恐い訳

 

なお、通常の健康診断では、糖尿病に関しては、空腹時血糖値とHbA1cしか検査しません。
(1)空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖なし → 質のいいHbA1c
(2)空腹時血糖値正常、HbA1c正常、食後高血糖あり → 質の悪いHbA1c

現実には、(1)と(2)のパターンがあります。(2)の質の悪いHbA1cパターンの場合は、「食後高血糖」と「空腹時低血糖」の平均値が示されており、「平均血糖変動幅増大」もあるので合併症リスクが大きいです。従来の糖尿病食を食べて、インスリンやSU剤で血糖を下げようとした場合、(2)のパターンが多いです。

現実に日本では、糖尿病合併症(透析・切断・失明)は減少していません。毎年新たに16000人以上の透析、3000人以上の足切断、3000人以上の失明が発生しています。

一方、(1)のパターンは、スーパー糖質制限食で、薬なしで、血糖コントロール良好を目指した場合です。こちらは合併症リスクがありません。(2)のパターンの場合は、食後高血糖はほぼ確実に見逃すこととなりますので、合併症を防ぐことは困難です。

舟形町研究

舟形町は山形県の東北部に位置し(参考図1)、農業を主な産業としています。人口移動が少なくコホート研究を実施するのに適していました。1990年から1992年にかけて、脳血管疾患などで障害のある人たち344人を除く40歳以上の舟形町の全住民を75g経口ブドウ糖負荷試験(75g-OGTT)の対象としました。

2,534名(対象者の74.5%)がOGTT検査を受け、これらの人々をコホートの対象者としました。既に糖尿病と判明していた117名はOGTTの対象とはしませんでしたが、コホートには組み入れました。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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