日本は世界の中でも社会的つながりが希薄で、「信頼」のない社会です。
「社交ネットワークやコミュニティを結びつけ、協働行動を可能にする信頼、相互理解、共通の価値観、規範など」を表す、ソーシャルキャピタル(社会資本)が際立って低いのです。
イギリスのシンクタンク、レガタム研究所が毎年発表している 「レガタム繁栄指数」の指標の1つ、「ソーシャルキャピタル」で、日本は167カ国中143位。全体では19位なのにソーシャルキャピタルだけがビリグループです。
ソーシャルキャピタルは平たくいえば、日常生活に存在する他者とのつながりで、その基盤となるのが「信頼」です。Capital という言葉が用いられるのは、人と人とのつながりに対する投資が、社会にリターンを生み出すからです。
ソーシャルキャピタルが豊かであれば、“持てる者“が獲得した社会的リソースに“持たざる者“がアクセスできるため、経済的格差社会が生むネガティブな側面が打ち消されます。
犯罪もその一つです。
かつての日本社会には、会社とのつながり、地域のつながりがありました。そのつながりは海外の研究者が驚くほど強かった。しかし、今はそのつながりが消えた。
不確実な社会で安心したいのに、安心できない。それがソーシャルキャピタルの欠損をもたらしているのではないでしょうか。
NHKが5年ごとに実施している「『日本人の意識』調査」では、「なにかにつけ相談したり、たすけ合えるようなつきあい」が望ましいと考える人が、長期的に減少しているとの結果も出ています。
「抑圧された怒りの芽」を摘み取らない限り、悲劇は繰り返される。そう思えてなりません。
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