上昌広医師が緊急提言。第7波対策には年齢問わぬワクチン接種を

2022.07.27
 

では、若年者に3回目接種は有効だろうか。6月16日、福島県相馬市が発表した調査結果が興味深い。相馬市はワクチン接種が全国で最も迅速に進んでいる自治体の一つだ。6月15日現在、中高生1,834人中1,066人(58.1%)が3回目接種を終えている。全国平均より27.1%高い。

相馬市によれば、4月1日から6月15日のオミクロン株流行期間に中高生65人が感染しているが、3回目接種完了者、未完了者の感染率は0.67%、7.16%だった。

表1 相馬市の3回目接種の効果

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相馬市内では、オミクロン株は、中高生を中心に流行した。未接種者に限定すれば、感染率は高齢者が0.31%なのに、中高生7.16%、小学生5.60%、未就学児5.22%と高い。ところが、相馬市では、3回目接種により、中高生の感染を91%予防した。中高生に対しては、3回目接種により、高い感染予防効果が期待できそうだ。

この結果は、医学的にも納得がいく。コロナはインフルエンザのように、1回の免疫で完全な免疫はできない。何度も感染し、何度もワクチンを打つことで、徐々に免疫が形成される。人生経験が短い若年世代は、新型コロナ流行前から存在した、従来型コロナに感染した経験が少なく、免疫をもっていなかったのだろう。ただ、高齢者と比べて、ワクチンへの反応性は高いから、ワクチンを追加接種することで、免疫力が急速に向上するのは納得がいく。

若年者を対象とした追加接種の感染予防効果を、大規模に調査した研究は世界中に存在しない。この点で、相馬市の調査は貴重だ。今後、国内外で追試されるだろうが、現時点で、我々が参照できる数少ないデータと言っていい。これから夏休みを楽しもうと思っている若い方々や親御さんは、是非、御参照頂きたい。

以上、オミクロン株に対するコロナワクチン接種の最新情報をご紹介した。参考になれば幸いである。

上 昌広(かみ まさひろ)
医療ガバナンス研究所理事長。1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

image by: umaruchan4678 / Shutterstock.com

上 昌広

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