追い詰められたプーチン。懸念される“核の前に化学兵器使用”の「禁じ手」

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ロシアによるウクライナへの侵攻開始から6カ月。西側諸国から大量の兵器供与を受けるウクライナ軍の攻勢が伝えられますが、この先戦況はどう変化してゆくのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、各地で窮地に立たされているロシア軍の厳しい現実を詳しく紹介。さらに今後の戦争の行方を読むとともに、戦後の世界秩序をどう構築していくべきかについて考察しています。

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ウクライナ戦争の推移

ウクライナ戦争はウ軍がロシア後方の補給基地、空軍基地を叩き、総反撃の準備が整ってきた。ロ軍はウ軍総反撃の対応策を取る段階になってきた。今後を検討しよう。

ウクライナでの戦闘では、ウ軍が、300km程度の射程も持つ弾道ミサイルかロケット弾を持ったことで、大きく変化した。ロ軍の弾薬庫や兵站拠点、司令部、空軍基地などを撃破して、ロ軍の攻撃力を大幅に減少させている。

特にクリミア半島の鉄道拠点でもあるアゾフスコイエの兵站拠点、サキ海軍航空隊基地、ベルベク海軍航空隊基地、フバルディアの発電所、マイスコイの軍用貯蔵庫などを次々に攻撃している。

2つの海軍航空隊基地の爆発で同部隊の戦闘能力が半減したようである。退避行動が遅れた代償は大きい。

このため、遅まきながら、クリミアから少なくとも航空機24機とヘリコプター14機をロシア本土などに退避させた。クリミアが戦場になってきたことで、航空機を置くことができないとやっと判断したようだ。

クリミア橋(ケルチ橋)に対してもミサイル等で攻撃したが、最新鋭のS350を大量配備して、防空体制を固くしていたので、迎撃できたようである。1機のUAVまたは1発のミサイルでは迎撃されることがウ軍もわかり、次回はミサイル攻撃では飽和攻撃になるはずだ。UAVでも複数機での攻撃になりそうで、ケルチ橋も長くはもたないと思われる。

そのほか、UAVでセバストポリの黒海艦隊司令部が攻撃され爆発があったが、迎撃に成功したともいわれている。それにしても、防空システムが黒海艦隊司令部にはないのであろうか。もしUAVとすると、制空権をロシアが持っていないことになる。

対空ミサイルで対処できずに、対空機関砲を撃つような状態である。対空レーダーを事前に破壊され、かつ早期警戒機を退避したことで、早期警戒ができなくなったようである。

逆にウ軍は、多様な手段でクリミアのロ軍を攻撃できるようになったということになる。

このように、クリミアのウ軍攻撃で大被害が出たことで、ロシア黒海艦隊司令長官のイーゴリ・オシポフ氏が解任され、ビクトル・ソコロフ氏が就任した。

宇ゼレンスキー大統領も「ロシア軍施設に近づくな」とクリミアの住民に注意をしている。ロシア系住民もクリミアの住宅を売りに出し、ロシア本土に退避しているようであり、住宅の売り出し広告が多数出ているという。

そのほか、ロシア本土のベルゴロド州のスタールイ・オスコル飛行場やティモノヴォの弾薬庫、リシチャンスクのロ軍司令部、ポパスナのワグナーの基地、メルトポリの司令部などをHIMARSや長距離ミサイルで叩いている。ワグナーの基地では100名以上が死亡して、200名程度まで拡大する可能性があると言われている。

この長距離ミサイルを大量にウ軍が持てるということは、ATACMSしかないと思うが、米国の見解によると、クリミア攻撃手段は、米国提供の兵器ではないと否定している。しかし、西側兵器の使用はOKであり、米国以外供与のATACMSである可能性は、否定していない。

ウクライナ製ミサイルとも最初、思ったが、これほど大量には作れないので、それはないはず。秘密裏にATACMS供与というのは、正しかったようだ。

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