このため、ロ軍は、ドンバス方面に優秀部隊を集めて、一点突破を志向し始めている。それがピスキーであり、ウ軍は、持ち堪えられなくて撤退をした。ここではTOS-1を大量投入して、大量砲撃をしている。ドネツク市の郊外であり、大量補給ができるからであろう。しかし、ピスキー占領までで、ロ軍も消耗が激しく、それ以上には攻撃できないようである。
ドンバスのソルダーは、ロ軍最強部隊のスペツナズを投入したが、ウ軍も特殊部隊の守備部隊にしたことで圧倒できなかったようだ。この地域には、英国から供されたストーマー対空ミサイル自走砲を配備したことで、ロ軍KA-52攻撃ヘリが4機も撃墜されている。
ドンバス上空では、ロ軍とウ軍の戦闘機同士の空対空戦闘が発生したらしい。当面の激しい戦闘はドネツク郊外であるが、ここの戦いでもロ軍の攻撃が弱まってきた。
ロ軍はハリキウ市へも無差別砲撃を増加させている。ここもロシア本土から近いので補給できるので、砲撃を強化できるが、ロ軍部隊の多くを他地域に回したので、ウ軍陣地への攻撃ができないようである。
ウ軍の主力部隊も、南部ヘルソン州であるので、他地域ではロ軍陣地に攻撃することもできない状態である。しかし、ロ軍が手薄なイジューム南でウ軍が、イジュームに向けて少し前進している程度である。
ロ軍ワグナー部隊も撃滅されたので、攻撃力が相当に落ちている。
このような状況であり、ロ軍はウクライナで「これ以上どこにも攻撃できない」状況にあると、アンドリー・ザゴロドニュク元ウクライナ国防相が述べている。米軍も同様の見方をしている。
このようなウ軍の活躍と比例して、ロ軍の司令官の解任が増えていて、作戦担当の司令官の30%から40%が解任されているようである。
この状況を改善するために、ロ軍は、ウ軍が東部で化学兵器攻撃の偽情報を作り、報復としてのウ軍への化学兵器攻撃する可能性がある。戦術核使用の前に、化学兵器使用のようだ。
前回、疑問視したAGM-88対レーダーミサイルの発射方法であるが、ウ軍はアメリカの支援のもとでミグ戦闘機に搭載できるよう改修したとのことである。疑問が1つ解決した。
そして、サポリージャ原発では、核を盾にして、ロ軍の武器などの保管場所にしている。原発地域の非武装化を43カ国が要請しているが、ロシアは拒否している。しかし、フランスのマクロン大統領が、プーチンと会談して、プーチンがIAEAの査察を認めたというが、どうなりますか?
それと、ヘルソン州全体を指揮するロ軍司令部は、ヘルソン市から最終的にはメルトポリに移転したが、その移転先を攻撃されて、大打撃を受けた。このため、ヘルソン州でのロシア帰属の住民投票を9月11日にはできなくなり、大幅な延期になったようである。
そして、ヘルソン州のドニエプル川西岸地域に展開するロ軍では補給が細り、不満が高まっている。そのような事態の時、チェチェンのカディロフツィが憲兵隊的な役割で、ロ軍に補給がないために攻撃できない事態なのに、攻撃しないと叱咤したことで、現地ロ軍と銃撃戦になり、多数の死者が出た模様である。
ドミエプル川西岸地域のロ軍は、補給が細り、崩壊も時間の問題になっている。しかし、橋を補修すると、その途端にウ軍の攻撃を受けるので、補修をあきらめて、フェリーを大量投入して、それで補給を確保する方向でロ軍は事態を改善したいようである。
ドミエプル川西岸地域のロ軍30BTGの1万8,000名分の補給がそれでできるかどうかは疑問である。
しかし、ヘルソン州でも、ウ軍は本格的な奪還作戦をしていない。ロ軍の補給停止で、ロ軍が弱るのも待っているようであり、次は、いつウ軍が反撃を開始するのかということになる。攻撃兵器が足りないともザゴロドニュク氏は述べているので、西側からの攻撃兵器支援を待っているようだ。
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