追い詰められたプーチン。懸念される“核の前に化学兵器使用”の「禁じ手」

 

この状況でも、米国防総省は19日、ウクライナ軍に対する7億7,500万ドル(約1,060億円)規模の追加の軍事支援を公表した。ドイツや英国も追加援助を行っているので、益々、ウ軍の装備は充実してくる。

今回の支援でも、A-10攻撃機の供与はなかったようであるが、ウ軍はA-10の訓練を開始している。MIG-29も徐々に稼働機種が減ってきたので、欧米製の攻撃機にシフトするしかないようだ。

ドイツはPzH2000自走砲向けに、155mm榴弾「ボルケーノ」を255発供与するという。この砲弾は射程距離70kmで誤差5mの砲弾なので、防空ミサイルでの迎撃ができない。これは、アントノフスキー橋やカホフカ橋の砲撃に使える。HIMARSのロケット弾とは違い、落下速度は早いことによる。

一方、ロシア軍は、窮地に立つことになる。この窮地に北朝鮮軍が参戦するようであり、その動向に焦点が当たることになる。

一方、前回に述べた8月下旬、カザフスタンとの国境に近いアストラハン州のアシュルクで、ロ軍とベラルーシ軍が合同軍事演習を行うとしたが、8月末に行うロシアの大規模軍事演習に、中国軍も参加するとし、極東地域の大規模軍事演習「ボストーク2022」となり、インド、ベラルーシ、モンゴルなども参加するという。

ということで、カザフスタン近くで数日演習後、極東地域に場所を移動させて演習することになった。これは、中国がロシアに軍事演習に参加する見返りに、場所を変えさせたようである。

ロシアは、中国やインドに不満を持っている。ロシアの味方ではなく、西側諸国を敵対視しないことにイライラしていた。その上、カザフスタンはロシアから離れて、中国にシフトしたことで、カザフにはより以上の不満があった。

この状況で、中国はロシアの「カザフへの敵視」から「日本への敵視」に変えさせて、極東での演習に切り替えさせたようである。

ロシア安全保障会議議長パトルシェフ氏の日本を敵視する発言は、この文脈から出ている。中国国内も反日的なムードにして、ロシアを変化させて、反日に巻き込んで、中国はカズフスタンを助けた。

このため、秋葉安保局長は17日、中国・天津市で、中国外交担当トップの楊潔篪氏と会談したが、この会談は中国からの要請で行われ、一連の根回しである。このため、日本政府もパトルシェフ氏の反日発言に過剰反応しなかった。

というように、ニュースを読むとき、いつも一連のニュースをつなげて見ることである。それが日本の評論家・学者の足りない所ある。その裏に隠れた意図を読まないと、正確な世界情勢が読めないですよ。

中国の習近平国家主席は、9月にプーチンとの会談のため、中央アジアを訪問するようだ。停戦に向けてロシアの条件を話し、11月にはバイデン米大統領と会談し、戦後体制を話すことになる。

ロシアの本当の味方は、オルラン10を大量に失った代わりとして、1,000機の偵察ドローンを提供するイランと工兵、輸送隊、砲兵、特殊部隊を派遣する北朝鮮、シリア、ベラルーシであろう。

イランは、ロシア支援というわけではないが、早期に核兵器を持てば、第2戦線を中東に作ることができる。この対応で、イスラエルは、サウジやトルコと国交正常化し、かつ、イラン攻撃時にサウジ領内を戦闘機が飛べるような合意もできている。

しかし、中東で戦争が起きると原油価格の高騰を招くことになるし、ウクライナ戦争が終了していないなら、第3次世界大戦になる可能性もある。勿論、ロシアはイラン参戦を期待しているようだ。

しかし、それでも、現時点ではロ軍の劣勢は如何ともしがたい。北朝鮮軍が参戦しても同じである。少し敗戦を遅らせることしかない。

どちらにしても、ロシア敗戦に向けて、次の世界秩序を考えて、その準備をする必要になってきている。

この時、中国の重要性が出てくる。中国も米国と調整したいようである。

次の世界秩序構築を中国も見て、動き始めたようだ。

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