そこで、声を掛けるべきは、シニアの人びと。
退職し、年金生活をしている人の中には、年金が少なく、生活に困っている人がたくさんいます。
年金の平均受給額は、国民年金で5.6万円、厚生年金で14.4万円。決して、余裕のある暮らしができる金額ではありません。
なので、年金をもらいながら、パート・アルバイトをしているシニアは、かなりの数に上ります。
ハローワークなどで、シニアの職探しをすると、「警備」「調理補助」「清掃」「マンション管理」で、求人があります。
逆に言うと、それ以外では、ほとんど求人がないということです。
シニアでは、細かな仕事、難しい仕事はできないと思われているのです。また、かなり目上の人に指図するのは躊躇する、ということもあるかもしれません。
しかし、シニアは想像以上に真面目によく働き、驚くほどの能力を発揮することがあります。
たとえば、ファストフード店で働く84歳の女性は、「好きだった接客がしたい」という思いから、82歳から働き始め、いまや「おもてなしマスター」と呼ばれる立場となり、お客さまへのサービスや声掛けをして、お客さまに慕われています。
家電量販店で働く80歳の女性は、商品の場所をしっかりと把握し、お客さまの要望に的確に応えています。パソコンも使い、バイクで通勤するほど、元気な方です。「動けるのが楽しい」と言います。
シニアだから使えない、ということはありません。長年の仕事経験、人生経験があり、高度なノウハウ・テクニックを持った人はたくさんいます。
そんな人材が溢れているのです。働きたいと願っています。こうした人材に声を掛けないのは、実にもったいない。買い手市場と言えるのかもしれません。
人材採用の門戸は、もっと広く開けておくべきです。やる気に満ちたシニアをぜひ採用してください。
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