日韓トンネルと政治
繰り替えすが日韓トンネル自体、北部九州でありふれた都市伝説の一種にすぎない。しかし現実には、政治面で動いていた。
2008年には、日韓トンネルの建設を推進する自民党を中心とした超党派の議員が結成。発起人には九州選出の国会議員を中心に、自民党の衛藤征士郎議員らが名を連ねていた。
が、その時点で共産党の議員が一切、いなかった時点で、“統一教会案件”なのは間違いない。
日韓トンネルをめぐっては、裁判もあった。
日本経済新聞(1996年4月9日付)には、
訴えによると、原告の男性は90年と91年の2回にわたり、教団側から「日韓トンネルや中国に建設する自動車工場の資金が必要」などと持ち掛けられ、三洋信販から総額約3億7,000万円を借り入れ、担保として福岡市内の7カ所に所有する不動産(計約4,300平方メートル)を提供する契約書に署名、押印した。
教団側は「名義を貸すだけで、支払いはすべて責任を持つ」などと説明、融資の全額は、教団側の開設した原告名義の口座に振り込まれた。
しかし、三洋信販から「返済しなければ、担保物権を競売にかける」との連絡を受け、だまされていることに気付いたという。
との記載がある。
私と統一教会との“接点”
筆者である私が統一教会という単語もまず耳にしたのは1992年、小学2年生のころ。内職をしていた祖母の影響もあってか、家のテレビが常時映っていた。
そのとき、当時のワイドショーで桜田淳子の合同結婚式のことが話題になっていたことを覚えている。
その後、1995年のオウム真理教の一連の騒動を挟み、1996年~97年あたり、中学1年~2年のころ、地元の友達の間で、
「福岡と韓国がトンネルで繋がるらしいよ」
との噂が駆け巡った。
実際には、日韓トンネルが福岡ではなく佐賀県の唐津市がスタート地点であったため、このように一部不正確な情報が、まだインターネットが普及していなかった時代に流れること自体、不気味な都市伝説となっている。
ただ、その時点で「統一教会」という単語は日韓トンネルと一切、結びついていない。
それと前後して、私は知人から統一教会と国際勝共連合、そして自民党との深い関係を知ることに。
また、大学時代に「戦後日本の右翼思想の歴史」のようなレポートを書く機会があり、その時点で、かなり緻密に統一教会と自民党との関係を調べた。
そもそも、最近は政治家だけでなく、メディアの内部から「統一教会」という団体など知らなかったと聞く。
しかし、その程度の話など、就職試験の「教養試験」レベルの話だし、別に秘匿された情報でもなんでもない。
■引用・参考文献
(*1)テレビ西日本「総工費10兆円の『日韓トンネル』 旧統一教会総裁が過去に視察…教団との関係は?唐津と対馬の現場は今」FNN プライムオンライン Yahoo!ニュース 2022年8月13日
(2)池田 郷「韓国政権交代で、日韓トンネル実現期待」西日本新聞me 2022年6月12日
(3)FLASH「総工費10兆円『日韓海底トンネル』がSNSで話題に…韓国政権交代で実現の可能性高まる」Yahoo!ニュース 2022年6月14日
(4)FLASH 2022年6月14日
(5)FLASH 2022年6月14日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年9月3日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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