北朝鮮が公言した武力を備えるためには、小型核弾頭の開発をはじめ大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などを網羅した核攻撃手段の多様化が必要だ。核実験による交渉力向上など政治的考慮だけでなく、技術的需要も存在するという意味だ。政府筋は「昨年1月の党大会で発表した超大型核弾頭生産など国防発展5か年計画を推進するために核実験は3年内に少なくとも1度は必要な状況」と指摘する。
カギは来月10月16日から1週間ほど行われる中国の第20回党大会の日程だ。習近平主席の3連任を決定する中国の最大行事を控え、大型挑発で冷水を浴びせるのは負担であるだけに、核実験もその後に調整するだろうという観測だ。先月、豊渓里(プンゲリ)の核実験場に降った集中豪雨によって、坑道周辺の道路が流失したり、擁壁が崩れた情況が衛星で捉えられたりしているだけに、現場の状況も変数だ。ただし「3番坑道は依然として核実験が可能な状態」(先月29日、李鍾燮国防部長官)というのが韓米軍当局の判断だ。
こうした中、16日にワシントンで韓米外交・国防(2+2)高官級拡張抑制戦略協議会(EDSCG)が約4年ぶりに開かれる。ウクライナ戦争と新冷戦の構図の中で懐疑論が提起されている米国の拡張抑制の信頼性と実効性を担保するための実質的な方案が用意されるか注目される。
一方、北朝鮮の核兵器法制化が韓国独自の核武装論に火をつけるのではないかという見方も出ている。ただ、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は先月17日、就任100日の記者会見で、「いかなる状況でも拡張抑制を強化することを優先課題と考える計画だ」とし、「NPT(=核拡散防止条約)体制を最後まであきらめずに守る」と一線を引いている。
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