武田邦彦氏が明かす、病院で大量の薬をもらう高齢者と年40兆円の医療費負担の闇

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新型コロナウイルスのパンデミックによって劇的に変化した世界。加えて戦争によるエネルギーと食糧の危機や世界中で頻発する異常気象など、先が見えなくなっているいま、新たな社会・経済のシステムを構築する「グレートリセット」が必要だという声が高まっています。しかし、何をどう変えようとしているのか、具体的なイメージはなかなか語られていません。今回の『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』では、中部大学元教授の武田邦彦さんが、日本の「薬の販売」という具体的なテーマで、これまでのやり方の何が問題でどうリセットすべきか解説しています。

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「病人を作る時代」へと変化を遂げてしまった社会と薬の関係

「グレートリセット」が始まるという。これは一体、何だろうか?またこれは歴史的な発展なのか、破滅なのか?曖昧な解説が多い中で、ここではハッキリとその正体は何なのか、悪いことなのか、それとも人類の進歩なのか、それに焦点を合わせて整理と解説をしていきたいと思う。

まず第一章として「薬の販売」について検討してみる。戦争でもITでも、金融でもない。まずは薬の販売から考えてみる。

薬の販売も昔は「富山の薬売り」に代表されるように、家に常備薬があり、それも風邪薬や腹痛などの薬が普通だった。それから抗生物質が多用されるようになり、現在ではすっかり様変わりになった。その過程では、抗生物質の乱用や、現代生活で病気を作って治すというようなこともあったが、一方ではC型肝炎の特効薬が発明されて、それまで不治の病の一つだったのが、1週間程度で治療を終わるという画期的なこともあり、メディアが書き立てるような悪い面だけではなかった。

しかし、全体的に見れば、医療費の負担が1年で40兆円を超えるなど、国民の医療関係の負担が増えつつあり、2020年からの新型コロナの問題のように全国民が一つの感染症に怯えるというような新しい事態も生まれてきた。

このような医療関係の変化は、単に科学的な問題だけではなく、その背景に大きな社会の変化があることを知らなければ、自分や家族の健康を守ることはできなくなってきていることも知らなければならない。

[第一段階] 病気になった人が薬を飲む時代

「カゼをひいたので風邪薬を飲む」、「下痢したので整腸剤」というのはあまりに当たり前で、「病気になった人が薬を飲む時代」というのは何を言っているのかわからないという読者のかたもおられるだろう。でも、そんな時代は去りつつある。

高齢者を別にすると、日本人の健康は一昔前に比べると格段に良くなっている。「一昔前」は、冷蔵庫がなく食中毒が頻発したし、家に風呂がないので風邪気味であっても寒い冬の夜に銭湯に行って風呂を使わなければならなかった。

それ以上に、食品はかなり危険であり、お酒を注意して飲むとか、歯を毎日磨くということもしていなかった。だから、50歳も超えると体はボロボロになり、薬を乱雑に飲むということが普通だった。実際にも平均寿命が50歳を超えたのは戦後であり、病で床に臥せ、水枕の世話になるということは日常茶飯事だったのだ。

でも、「平均寿命が飛躍的に伸びる」ということは現役世代の人が病気にならなくなったということでもあり、薬はもっぱら高齢者が買うようになった。そこで、薬の販売を上げるためにも、病院に行くと高齢者は大きな袋一杯の薬をもらい、自分が飲む薬を覚えられないという状態にもなったことがある。また、日本だけの現象だったが、何でもかんでも抗生物質を使い、その結果「耐性菌」が発生して将来は抗生物質は使えなくなるのではないかとも言われた。
(『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』2022年9月21日号より一部抜粋)

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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