ヘルソン攻防戦
しかし、ウ軍は南部ヘルソン州での攻撃では、ロ軍の降伏交渉を蹴ったことで、精鋭部隊が多いロ軍がウ軍を逆攻撃することが多くなった。死に物狂いでの反撃であろう。退路がないので、頑張るしかない。
ヘルソン市北のキセリフカをロ軍が攻撃して市街戦になっている。ヘルソン市に向け、ウ軍が機甲部隊を進撃させていたが、その機甲部隊に大きな損害が出ているようである。西端のオレクサンドリフカもウ軍からロ軍が奪い返した。M777榴弾砲の砲撃からヘルソン市内を守るために、ウ軍をその範囲内から追い出すようだ。
しかし、ドニエプル川の橋やフェリーは相変わらず攻撃しているので、はしけで細々と補給をしているが、ノバ・カホフカダムの近くに2本の仮説橋をロ軍は構築したが、うち1本を破壊したが、もう1本はまだ通行可能のようである。しかし、通行のトラックなどへも砲撃しているので、食料や飲料水が思うように確保できない状況は変わらない。
そして、ヘルソン市周辺のロ軍対空システムも破壊されて、ウ軍の攻撃機がロ軍を空爆しているが、それでもロ軍は頑張っている。ロ軍の攻撃機も飛来して、ウ軍を空爆している。
ヘルソン州中北部の橋頭保やヘルソン州北東部の状況も不明になっている。
しかし、ロ軍は、西岸の中部ベリスラフに集結させて、ヘルソン州の中北部や北東部のロ軍の撤退準備をしているようであるが、プーチンは、占領軍司令官のへルソンからの撤退要請を拒否しつづけているので、撤退を実行できないでいる。
ロ軍補給線を遮断して、ウ軍はHIMARSの砲撃と攻撃機の空爆を継続的に実施して、ロ軍の消耗を待つしかないようだ。ロ軍精鋭部隊の厚い守備に、ウ軍機甲部隊攻撃では、損害を大きくしているだけであり、ロ軍撤退を待った方が良い。プーチンはいつまで要請を拒否できるかということである。
南部地域では、イランのUAVも活躍しているようであり、ウ軍も、多数飛来したロ軍のイラン製シャヒード-136自爆ドローンを迎撃しきれないことで、各所で暴発が起きている。
このため、イスラエルは対ドローン用防空システムをウ軍に供与するようである。イスラエルは、今まで中立を保ってきたが、ここにきて、ウクライナ側に回ったようである。もう1つが、イラン製ドローンの防御性能を上げる実戦試験のためのようである。イスラエルは、イランとの戦争を準備している。
ウ軍戦車の損失で、米国もドイツのレオパルト戦車か、米国の戦車の供与も検討し始めたようである。しかし、シュルツ首相はレオパルト戦車の供与は認めない。F-16戦闘機の供与も検討開始した。
ウ軍装備が全面的にロシア型兵器から欧米兵器に変わる可能性も出てきた。これで、兵器の弱点がロ軍は分からなくなるから重要なことである。ロ軍の防御効率が落ちることになる。
このため、現在はロ軍の弱兵がいる場所を攻撃した方がウ軍としては得である。このような場所がサポリージャ州であり、ウ軍機甲部隊が徐々に進軍して、エホリフカまで到達したようだ。
ロ軍も徐々にウ軍が前進するので、徐々に後退している。ここには、訓練もされていない第3軍団が守備の中心であり、脆いようである。まだ、攻撃の中心がオスキル川防衛線突破であるので、ここは砲撃が中心で機甲部隊が突進するような状況ではないが、いずれロ軍の弱点に攻撃の中心を持ってくることになるとみる。
それと、ザポリージャ州は、パルチザン活動が盛んであり、多くのウ軍特殊部隊が潜入しているようだ。
どうも、プーチンはヘルソンを重視し過ぎているようであり、精鋭部隊をヘルソンとドネツクに集めすぎて、他の地域の戦力は手薄のようである。この修正をしないと、ロ軍の勝ち目はない。
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