いじめは何度も直接Aさん本人からも伝えられていた
市教委も学校も、いじめの申告は無かったから、いじめの継続性はないとして、重大事態いじめを見送り続けた。
しかし、Aさん本人は、必死で接点がある学校に直筆でいじめを訴え続けていたのである。
これは、Aさんが小学3年生の時に書いて学校に提出した「いじめアンケート」である(被害保護者提供、掲載確認をして承諾を頂いております)。
これだけ具体的にいじめの態様が書かれているアンケートを提出されておきながら、不登校定義以上の欠席をしているのに、重大事態いじめではないと当事者が6年生になる現在までも放置していたのである。
いや、放置というのはまだ良い表現だ。実際は、被害を訴え続ける保護者とAさん、また同様の被害を受け同じように対応している保護者や被害児童らを、クレーマー、モンスターペアレンツだとして、対決しているのである。
学校による登校妨害
Aさん本人は見た目、かなり回復しているように見える。私が訪問したときは、玄関先で挨拶をしてくれたし、帰りにも見送ってくれた。
小学6年生現在、何の被害を受けていない子よりは心的障壁があるものの、学校には登校している。
しかし、ここまでできるようになったのは、Bの被害を受けて、もう学校に登校することができなくなってしまった友達や被害の事を思い出すことすら恐怖になっている友達の代わりに、自分がその声も届けようという強い思いがある。
そして、なにより、200キロも離れた名医のもとに通い続けた、「PTSD回復プログラム」の効果であるのだ。
Aさん本人も、保護者も、口をそろえて、こう言う。
席を離すとかの配慮とかはありましたが、PTSDの状態であるのに、その状況も確認しないで、「心理士いればいいでしょ」みたいな対応でAさん本人が怖がっていても聞き取りをしようとしたり、授業を受けようとするのを妨害したり、あまりに酷い対応しか受けていません。
10月には運動会がありますが、全く配慮されず、フラッシュバックなどが起きて倒れてしまうなどもあるので、今年も運動会には参加できなくなります。すごく悔しいです。
現在、登校できているからいいでしょという論調が学校にはあるが、登校できるようになったのは、Aさん本人と200キロも離れた名医を探して通うという保護者の犠牲によって、できるようになったことであり、現在も、「職員会議で共有しました=いじめの対応をしています。」的にやったふりと、やったつもりになっている無策な学校のおかげではないのである。
Aさんから悔しいという言葉がでる運動会の不参加については、学校が行った被害者らへの登校妨害と評価してもいいだろう。
教育に携る者であるならば、Aさんら被害者が少しでも参加できるような最大限の配慮と対策を今すぐ行うべきなのだ。
一方で、日中働いている両親が有休を取らなければ参加できないように会議をセッティングしたりする細かな嫌がらせは、今すぐやめた方がいいし、被害者の個人情報に繋がることを無配慮に口にするなどは公務員としてあるまじき行為であると付け加える。
(本件については、Aさんと保護者の要望により、予定稿を差し替えて出稿しています)
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