G7招致失敗 安倍氏の退任とともに流れが変わる
当初、順調満帆だった福岡の高島市政も、安倍氏の退任とともに流れが変わる。2023年開催のG7サミット(先進7カ国首脳会議の)開催に失敗したことだ。
「ライバルは広島だと思っています」。高島市長は1月、岸田首相と面会したうえでこのように記者団に語る。福岡市は2019年のG20サミットの招致レースで大阪に敗れた。高島市にとっては雪辱の舞台。しかも決して夢物語ではなく、とくに年が明けたころはむしろ福岡市は有利だった。
2023年春に開業する高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン福岡」を筆頭に、福岡市では海外からのVIPを十分におもてなしできる宿泊施設の供給能力を急速に増強されてきた。首脳たちの専用機が発着する福岡空港は都心部と近く、アクセスも極めて良好。
一方、首相のお膝元とはいえ、広島市は弱点もあった。被爆地開催に対し、G7の核保有国が難色を示す可能性も。首相も周囲に、「特に英仏を広島に呼ぶのは簡単ではない」と漏らしていたほど。(*1)
しかし風向きが変わったのは、2月下旬のロシアのウクライナ侵攻。プーチン大統領は核兵器の使用をほのめかす。それに対し、日本政府内では核兵器の現実的脅威が一気に高まってきた今こそ、広島でG7サミットを開くべきではないかとの声が強まってきた。(*2)
都市再開発の直下で“日本一危ない活断層”が蠢く
高島市政の最大のレガシー(遺産)であるものが、都市再開発である。主要なエリアである天神と博多エリアの大型建築物は築40年以上のものが多く、老朽化が進む。そのため、福岡市はそれぞれ、「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」という再開発プロジェクトを進めている。
しかしそのことは同時に、「日本一危ない活断層」ともいえる市直下の活断層のリスクを抱えながらの市民生活を、強いることも意味する。
福岡市の真下を走る警固断層は、17年前の2005年にマグニチュード7クラスの「福岡県西方沖地震」を起こした。その地震により、“ねじれ”が生じた状況を専門家は、「日本一危ない断層」と呼ぶ。(*3)
市は東南海地方と同水準の耐震性能を目指す条例を作り、建築物の強靱化を急いではいるものの、コストの問題が立ちはだかる。さらに研究者によると、現在の活動周期は「満期」にあたり、いつマグニチュード7を超える大地震が起きてもおかしくないとのこと。(*3)
30年以内に地震が発生する確率は、0.3%~6%。政府はマグニチュード8の巨大地震につながるおそれのある富士川河口断層帯などと同じ「Sランク:発生確率高い」に位置づけている。
■引用・参考文献:(*1)西日本新聞、2022年5月29日付朝刊/(*2)西日本新聞、2022年5月29日/(*3)RKB オンライン 2022年9月3日「日本一危ない “ねじれた断層”が九州にあった 政府は地震発生確率「Sランク」に」
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image by:高島宗一郎Facebook