逆境で急成長。「焼肉ライク」が“ひとり焼肉”でコロナ禍に起こした革命

cb20220929-e
 

続々と繰り出されるユニークなキャンペーンがメディアでもたびたび取り上げられ、焼肉業界の中でも抜群の知名度と人気を誇る「焼肉ライク」。他者の追随を許さないアイディアは一体どこから湧いてくるのでしょうか。その秘訣を探るのは、フードサービスジャーナリストの千葉哲幸さん。千葉さんは今回、同社の魅力的な企画の数々と、顧客の心を掴み続けるため彼らが続けている取り組みを紹介しています。

プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

創業まもなくでコロナ禍に見舞われた「焼肉ライク」が、“ひとり焼肉”で革命を起こすまで

コロナ禍で会社の体質を鍛えたという飲食業の話を紹介しよう。それは、元祖ひとり焼肉の「焼肉ライク」である。

このチェーンは「牛角」チェーンを2000年初頭の短期間で800店舗に育てた西山知義氏が率いるダイニングイノベーションによって、いまから丸4年前の2018年8月29日に1号店がオープン。その後分社して焼肉ライク(本社/東京都渋谷区、代表/有村壮央)となり、この8月末現在で全国に85店舗(うちFC79店舗)を展開している。

“売上の最大化”を常に追求する

「焼肉ライク」の特徴は「1人につき1台の無煙ロースター」「注文から提供まで3分間、平均滞在時間25分間」「一番安いセットメニューが580円(税込)」といったこと。焼肉を食べたいときに1人でサクッと食べられる、ということだ。これが女性の潜在需要を引き出して女性客が3~5割となっている。

同チェーンは話題に事欠かない。小刻みに耳目を集めるキャンペーンを展開している。直近で大ヒットしたメニューは「平日11時~18時、時間内無制限食べ放題」2,170円(税込、以下同)と「焼肉フィットネス」サブスク月額1万780円である。

大食漢向け人気メニューを“7時間食べ放題”にして人気を博した「メガホ」

大食漢向け人気メニューを“7時間食べ放題”にして人気を博した「メガホ」

「フィットネス」に根差したメニューを恵比寿本店、赤坂見附店限定で毎日食べられることが話題となり、7月25日に販売を開始した「焼肉フィットネス」はサブスクプランが公開5分で完売した

「フィットネス」に根差したメニューを恵比寿本店、赤坂見附店限定で毎日食べられることが話題となり、7月25日に販売を開始した「焼肉フィットネス」はサブスクプランが公開5分で完売した

前者は、元々同チェーンの「メガ盛りセット」300g1,290円、400g1,790円が人気上位3位にあり、食べ放題ファンのお客から「一般の焼肉食べ放題は90分限定で落ち着かない」という声があったことから、新たに2,170円のメニューを設定して「7時間食べ放題」にしたという。当初6月27日から7月31日の期間限定で難波なんさん通り店(大阪)と国立店(東京)の2店で提供していたが、好評を博したことから8月16日に提供店舗は20店舗に拡大した。

そして、9月27日より「シン・メガホ」と名称を新たにして、新メニューとして「ネギ塩」と「ニンニクマシマシスタミナカルビ」を加え、提供店舗を26店舗に増やした。このメニューが好評であることがうかがわれる。

「メガホ」に味変メニューを加えて実施店舗を26店舗に増やした「シン・メガホ」

「メガホ」に味変メニューを加えて実施店舗を26店舗に増やした「シン・メガホ」

「7時間食べ放題」であっても実際の利用客は1時間ないし1時間30分で食べ放題を終えるという。とは言え店側が「1時間」「1時間30分」と小刻みに区切って食べ放題をアピールするのではなく「平日11時~18時時間内無制限!!」と表示していることに“遊び心”や“懐の深さ”を感じさせる。そして、ピークタイムである18時以降は食べ放題の時間に充てていない。常に“売上の最大化”が図られている。

後者は、LINEサブスクシステムの「サブスクライン」によって「フィットネス」に根差したメニューを恵比寿本店、赤坂見附店(以上、東京)限定で毎日食べられるという内容。100名様限定で7月25日朝7時より販売を開始したところ開始5分で完売した。そして8月1日より上記2店限定で3種類のセットを各1,490円で提供している。

それは「筋力アップセット200g」「低脂肪セット200g」「ロカボセット200g」。メニューは、赤身肉、鶏肉と脂肪分の低いもので組み立てて、ロカボセットにはごはんはつかない。これらには順に、780kcal、701kcal(ともにごはん普通盛りの場合)、554kcalとカロリー表示がなされ、脂質、炭水化物、糖質の量も表示されている。

このメニューも10月1日から実施店舗を10店舗に拡大。月額10,780円と14,080円のサブスクプランで対応する。

「焼肉フィットネス」のサブスクは10月1日から実施店舗が10店舗に拡大し2種類のメニューを設けた

「焼肉フィットネス」のサブスクは10月1日から実施店舗が10店舗に拡大し2種類のメニューを設けた

print
いま読まれてます

  • 逆境で急成長。「焼肉ライク」が“ひとり焼肉”でコロナ禍に起こした革命
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け