逆境で急成長。「焼肉ライク」が“ひとり焼肉”でコロナ禍に起こした革命

 

「焼肉」に拘泥しない幅広い業態力

この年に手掛けた、ひとりジンギスカン「スプリングラム」の企画が光った。この発想は「焼肉の利用動機を広げること」(有村氏)。「焼肉ライク」を立ち上げた当時から温めていた。そこでオーストラリア産の羊肉が最もおいしいとされているスプリングラムを食べたところその食味に感動し、同社が独自に生のスプリングラムを仕入れるルートを開拓した。

第1弾は2021年5月11日~5月31日「スプリングラムジンギスカンセット」130g1,480円(税込)で提供。北海道の家庭で常備品とされているベル食品「成吉思汗のたれ」を添えた。今年も第2弾として4月29日~6月15日開催。昨年と同様のメニューに加え、セットメニューのバリエーションを広げた。今後はマクドナルドの「お月見バーガー」のように、顧客に季節感をもたらす定例のメニューに育てていきたいという。

生のスプリングラムによるジンギスカンは今年で2回目、今後定例化していく模様

生のスプリングラムによるジンギスカンは今年で2回目、今後定例化していく模様

2022年に入り4月4日~5月9日、上野店の1階を「すき焼ライク」として営業した。「焼肉ライク」のロースターにすっぽりとはまるひとり鍋を開発し「国産牛すき焼きセット」1,280円、追加肉680円で販売した。この先は、前段で紹介したキャンペーンとなる。

大好評を博した「すき焼ライク」は肉業態としての可能性を広げた

大好評を博した「すき焼ライク」は肉業態としての可能性を広げた

いまや「焼肉ライク」では「カスタムメニュー」と称した50g単位の肉メニューをラインアップ。14時~18時はアルコールが全品半額のハッピーアワーも行っていて“ちょい飲み”の需要にも応えている。

このように見ると「焼肉ライク」はコロナ禍にあってそれを乗り越える力がオールラウンドに付いたと言える。根底にあるのはコロナ禍の当初より習慣化した“ワンデー・ワンアイデア”である。こうして社員のアイデアを鍛える環境が培われ、それを尊重する社風が育っていったと言えるのではないか。

image by: 千葉哲幸
協力:株式会社焼肉ライク

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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