プーチン政権の混乱は、“招集対象となるのは予備役の30万人で軍事経験者だけ”としていたが、自治体が強引に招集したり、招集対象でない国民に招集令状が届くケースが数多くあり、軍務経験のない著名な元サッカー選手にも召集令状が届いたという報道もあった。
隣接するジョージアでは一日でロシア人6,000人強が越境してきたと発表した。フィンランドはロシアからの入国制限を始めた。ロシアは国境地帯に臨時の徴兵事務所を設置し国外逃亡を阻止しようとしているが、かえって国民の反発を招いているともいう。ロシアが部分的動員令を発令した後、ロシアからの出国者は後を絶たず9月末までにフィンランドに4万3,000人、ジョージアに5万3,000人、カザフスタンに9万8,000人が出国、隣国に向かう車列も後を絶たないという。
プーチン大統領は9月30日、ウクライナとの戦いで国内が混乱しているため沈静化に躍起となっている。「ウクライナ4州をロシアの一部に加えることになったのは数百万人の意思の結果であり、ウクライナから解放された人々はロシアの国民となる。ウクライナ政府は米欧に従属している。即時に戦闘を停止し、交渉のテーブルに戻ることを求める」とウクライナに停戦交渉に応ずるよう求めた。
しかしウクライナは、4州を強制併合されたことに反発を強め、欧米からの武器供与の支援、アメリカやEUの新たなロシア経済制裁の方針を受けて4州の奪還に全力を尽くす構えだ。逆にロシアは30万人の動員発令に自国民の反発を受け国内が混乱、プーチン政権は苦境に追い込まれつつある。アメリカやEUがロシアを追い詰めることに加担すれば、プーチン政権の存在自体を危うくする可能性も出てきた。
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