10月8日のクリミア大橋爆破に対する報復攻撃で、凄まじい怒りを示したロシアのプーチン大統領。核の使用も脅しで済まないように思えてきますが、ロシアの動向を注視するアメリカはどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では、国際政治経済学者の浜田和幸さんが、バイデン大統領の発言のぶれを指摘。ロシアが戦術核を使った場合の対応についても確たる言葉を口にせず、このままでは両国の核が乱れ飛び、人類と地球が危機に瀕することになりかねないと危惧しています。
この記事の著者・浜田和幸さんのメルマガ
迫りくる核戦争の脅威:ぶれまくるバイデン大統領
ぶっちゃけ、バイデン大統領の発言はぶれまくっています。先週は近づく中間選挙の応援演説の中で「世界は核戦争に飲み込まれようとしている。1960年代のキューバ危機以来の一大事だ」と危機感を露にしました。
ところが、今週のCNNでのインタビュー番組においては「プーチン大統領が戦術核の発射ボタンを押すことはないだろう」と回答。「核戦争の脅威の源泉はロシア」と言っていたはずでしたが、「プーチン大統領はそうした決断をしないだろう」と言うのです。
この点をインタビューで問い詰められると、バイデン大統領は「本人にその気がなくても、間違ってボタンを押すこともあるだろう。計算間違いということもありうる」と、妙な説明に終始していました。
国家安全保障会議のカービー報道官も尻ぬぐいに大慌てのようです。曰く「モスクワが核使用に向けて何らかの決断を下したとは思えない」。
しかし、クリミア大橋が爆破され、プーチン大統領はメンツ丸つぶれです。70歳になった翌日のテロ攻撃でした。しかも、2014年のクリミア併合を大勝利と宣言し、ロシアとクリミアを結ぶ大動脈として大橋の完成式典には自ら出席していたプーチン大統領です。いわば「秘蔵っ子」のような19キロの長さを誇るクリミア大橋を爆破されたわけですから、その直後のウクライナ各地へのミサイル攻撃もかつてないほどの規模で展開されました。
プーチン大統領の怒りは収まる気配がありません。となると、バイデン大統領がしばしば口にしていた「アルマゲドン」もあり得る話でしょう。その点を更に問い詰められると、バイデン大統領は困った様子で、次のように言葉を濁らせました。
「ロシアがウクライナに核兵器を打ち込んだ場合に、アメリカがどう反応するかは明らかにするわけにはいかない。可能性はあるだろうが、我々がどうするか、あるいはどうもしないか、その詳細は言えない」。
こうしたバイデン大統領のぶれぶれ発言をプーチン大統領はどう受け止めているのでしょうか。ロシアが保有する核弾頭は5977発で、アメリカは5428発と言われています。万が一、米ロの核戦争となれば、その被害や影響はウクライナやヨーロッパに限定されません。
アメリカのラトガース大学の計算では地上の温度は16度ほど低下するため、地球規模での食糧危機が発生するとのこと。ぶっちゃけ、ウクライナ危機は人類全体を飲み込む地球危機をもたらすことになりかねません。
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