ところが日本は……輸入価格の高騰が始まる前の経済は、構造的なデフレ状況に陥っていた「世界でたった一つの国」だったのです。これはつまり、消費税減税の帰結として考えられる「中長期的なインフレ圧力」という、消費税減税の唯一のデメリットについて、全く考えなくてもよい「世界でたった一つの国」であることを意味しています。
というよりむしろ、構造的なデフレ=物価と賃金下落に悩まされ続けている日本において求められているのは「構造的なインフレ圧力」だったのです。だから、消費税減税の諸外国にとっての「中長期的なインフレ圧力」というデメリットが、我が国日本においてのみ「有り難いメリット」として作用するのです。
すなわち、構造的なデフレに苛まれ続けている今の日本は、消費税減税を何のデメリットも受けないままに、メリットだけを享受する形で進めることができる状況にあるのです。
それはまるで、普通なら「背脂たっぷりラーメン」なんて、短期的には美味いから皆食べたいけれども、そんなの食べてばっかりいたら肥満になっちゃうから食べちゃダメ……だけど、ガリガリに痩せ細ってたくさんの脂肪を身に付けなきゃいけない、という特殊な状況にある人にとっては、美味いし、脂肪もつくし、一石二鳥だ!ってくらいに素晴らしい食事になる、という話と同じ。
今の日本は、デフレでガリガリに痩せ細ってるんだから、「背脂たっぷりラーメン」くらい食えばそれでいいわけです!(もちろん、おなかを壊さない程度に、というのは大切ですがw)
それにも関わらず、岸田氏は、「またそんなの食べたら肥満になるから、凄く食べたいけど、食べちゃだめだよなぁ」なんて言ってる、脂肪分が少なすぎてガリガリになって死にそうになってる愚者と全く同じなわけです。
(『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年10月21日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
※この議論をさらにガッツリ考えてみたい方は是非、藤井先生の新著『消費減税ニッポン復活論』をご一読下さい。
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