ウクライナ・ポーランド国境地域
ベラルーシとロシア合同軍は、北ウクライナに進軍して、欧米兵器のウクライナ輸送を阻止する可能性があるとウクライナはみている。日中戦争時の日本のインドシナ侵攻とよく似た行動である。補給線の切断を目指すことだ。
このため、ポーランド軍も国境付近に大量の軍を集めて、侵入時に対応する準備を進めている。ウ軍もキーウへの攻撃を想定していたが、ポーランド国境付近となり、急遽、準備を開始しているようだ。
欧米との補給線を切られると、ウ軍も危うくなる。しかし、ポーランドを巻き込むと、NATO軍が出てくる。事実、米軍第101空挺師団「スクリーミング イーグルス」をルーマニアに配備し、対応できる体制を取った。というように、戦線の拡大を招くことになる。それを本当に行うのであろうか?
ベラルーシのルカシェンコ大統領も「われわれに戦争は必要ない」と言っているが、どうであろう。米軍を引き込むのはいかにもまずいと思う。
ロ軍の状況
傭兵会社ワグナーの要員も半分程度が、囚人兵になり、練度は下がり、正面攻撃しかできず、ワグナー囚人兵が全滅して、ウ軍陣地を抜けない状態である。ワグナーでさえ、この有様で、当然、正規軍は、よりボロボロである。しかし、動員で数だけ多い。
それでも兵員の不足から、ロシア下院は、女性を軍隊に徴兵することを提案したようだ。
この現状を見たうえで、どうするかだ。その方策が出てきた。
イランから自爆ドローンを2,500機も導入して、飽和攻撃を各所で行っている特に発電所、変電所、火力発電所などを狙って攻撃して、50%も破壊したようである。冬に向かいウクライナ国民の厭戦気分を出して、停戦に持ち込みたいようだ。
しかし、ウクライナはEUからの送電網と接続済みで、電力が完全に無くなることはないし、原子力発電所や水力発電所を攻撃するにはロシアへの大きな非難を覚悟する必要があり、簡単にはできない。
航空宇宙軍司令官をロシア総司令官にした理由は、ドローンや地上戦で負けているので、そのドローンで勝つ方向を模索するためであろう。大型の自爆ドローンもロ軍最前線で、ウ軍の火砲・トラックなどに向けて攻撃して、大きな効果が出ているようである。
ロ軍弱体化で、前線の維持は難しくなってきたが、防御にシフトして、イランのドローンを利用して、勝つことはないが、今の占領地を維持する方向にロシアの目標を変えたようである。
このため、イランはクリミアに多数の軍事顧問団を送り、直接ドローンの操作をしているようである。このため、現時点までで10名程度の戦死者も出ている。ウ軍はドローン発射地点を特定して、ドローンで攻撃をしている。
戦略変更に合わせて、プーチンも、併合4州に戒厳令を出して、軍支配を徹底して、ここの支配地域を防御する方向にしたようだ。
ロシア国内では、「これは第三次世界大戦であり、我々はNATOと戦っている」と宣伝し始めた。戦時体制に向かい、生活は苦しくなり、多くの国民に死ぬ可能性が出て、意義を再提示する必要になっているようだ。
そして、失言かもしれないが、プーチン政権幹部キリエンコ氏も「戦争」という言葉を使ったようだ。
その上、ベラルーシを活用して、ポーランド国境攻撃をちらつかせて、ウ軍部隊をベラルーシ国境に貼り付けて攻撃力をそぎたいようだ。
この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ