岸田首相が泣きついたか。統一教会べったり山際大臣更迭劇の裏側

 

山際氏は、統一教会にとって、よほど重要な政治家なのではないだろうか。10月19日の参院予算委員会を見ていて、つくづくそう思った。

山際氏は2011年にナイジェリア、16年にネパールへ海外出張し、統一教会関連団体のイベントに参加したことが明らかになっている。

小西洋之議員(立憲)が、ナイジェリアとネパールへの渡航費が政治資金収支報告書に記載されていないことに着目し「統一教会に出してもらったのではないか」と質したところ、山際氏は「どちらも自費だった」と答えて、その理由を語り始めた。

「海外出張に関しては、学生時代から海外で動物学の調査研究を行っていたので、政治活動だけでなく、あわせて自然環境や植物の観察を行うことが常だった。このため政治資金として処理するのは自分のポリシーに反する。ネパールに出張した目的は大地震からの復興状況を確認するためだった。ナイジェリアについては、私はずっとアフリカをテーマに政治活動をしてきた人間で、貧困、人種、環境などアフリカの問題の縮図のようなところなので機会があれば訪問したいと思っていた」

つまり、ナイジェリアへは主としてアフリカ問題への個人的関心で、ネパールには大震災からの復興状況を視察するために行ったというのである。それなら政治資金を使うのに何らはばかるところはないように思えるが、それはともかくとしても、なぜ、たまたま個人的関心にしたがって渡航した先で、統一教会関連団体のイベントが行われているのかの説明がつかない。

誰が考えても、山際氏は統一教会のイベントがあったから渡航したと考えるのが妥当だろう。旅費を教団が出したのではないかと小西議員が疑うのも無理はない。

小西議員は「ネパール、ナイジェリアとも詳細に記憶されている」と皮肉り、ならば「統一教会関連についても記憶しているはずだ」と迫った。

それでも、山際大臣は「どちらも、副次的に(スケジュール)を合わせたので、その会合については記憶していない。前から申し上げている通りです」と言い張った。教団関連のイベントは副次的なものなので記憶していないという言い訳が、いかに不合理なものかは誰だってわかることだ。

「ネパールの会合で山際さんがスピーチしている写真がある」「ナイジェリアで文鮮明夫妻と会ったか」と小西議員がたたみかけても、山際氏は「記憶はない」「記憶の限りではお会いしていない」と繰り返すばかりだった。

これまでに報道などで指摘され、山際氏が出席を“後出し”で認めた統一教会がらみのイベントは、2010年の韓国におけるセミナー、11年のナイジェリア会議、16年のネパール会議のほか、2013年の「平和大使協議会」、18年に開かれたアフリカビジョンセミナー、2019年に都内で開催された会合などがある。

18年のアフリカビジョンセミナーについては、子どもたちから花束を受け取る韓鶴子総裁とステージ下で見つめる山際大臣の姿をとらえた写真が、教団のホームページに掲載されていた。

当日は山際氏ら2人の国会議員が出席し、祝辞を述べている。機関誌『世界家庭』2018年8月号によると、「2011年にナイジェリアで3、4時間にもなる真のお父様のメッセージをお聴きしたとき、言葉を超えた真実を感じた」というのが祝辞の内容で、ナイジェリアの会議に出席した山際氏のスピーチであることが強く推測される。

山際氏と韓鶴子総裁が一緒におさまった写真も最近、インターネット上にアップされている。19年10月に名古屋市内のホテルで撮影された10人の集合写真だ。自民党国会議員7人と教団側の3人が横一列に並び、真ん中に立つ韓総裁の真横に山際氏が位置しているところを見ても、教団から好待遇を受けていることがうかがえる。

これだけ教団と親密な間柄でありながら、山際氏は、指摘されたほとんどのことに「記憶がない」「記録は廃棄した」などと主張しているのだ。これでは、岸田首相が匙を投げたくなるのも、うなずける。

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