「TODOリスト」によるタスク管理が、たった数週間で破綻してしまうワケ

shutterstock_1454129747
 

すべきことが多すぎて“やり残し”や“し忘れ”が増えてくると、頼りたくなる「TODOリスト」によるタスク管理。一度は活用を試みたけれど、うまくいかなかったという人も多いのではないでしょうか。メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』著者で、Evernote活用術等の著書を多く持つ文筆家の倉下忠憲さんも、何度も失敗を経験した一人。TODOリストがどうしても破綻してしまう理由を紐解き、失敗を繰り返したことで「デイリータスクリスト」という人に勧めやすい手法に辿りつくまでの道のりをわかりやすく伝えています。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

初月無料で読む

TODOリストを破綻させる

今回は「TODOリスト」について書いてみます。先に書いておくと、今現在、倉下はいわゆる「TODOリスト」は使っていません。いくつかの経験を経て、そのような判断に至ったのですが、今回はその結論ではなく、そこにいたる道のりが重要ではないか、という話をしてみたいと思います。

■TODOリストの功

もしあなたが、まったくのタスク管理初心者で、さあこれからタスク管理をやりましょうということになったら、真っ先に取り掛かるべきなのが、「TODOリストを作ること」でしょう。

冗談抜きに、こうしたリストを作るのと作らないのとでは天と地ほどの差が生まれます。たかだかリストでそんな大きな違いが生まれるわけない、と思われる人ほど大きな差が生まれるでしょう(記憶力を過信している可能性が高いからです)。それこそ、暗算と電卓を使うくらいの差が生まれるはずです。

「やろう」と思いついたことを書き留めておき、必要に応じて追加したり、移動したり、削除したりする。そして、実行を進めながらチェックをつけて進捗管理をする。何かしらを「管理」するための最も素朴でシンプルな手段がこうしたリストの作成だと言えます。

だから、タスク管理をしようとなったら、「TODOリストを作る」からその一歩を始めるのはごくまっとうな話です。

■TODOリストの罪

一方で、何も考えずにそうしてTODOリストを作っていても、解決できない問題があります。たとえば、「忙しすぎる」という問題がそれです。本当に当たり前の話ですが、24時間という時間に26時間分の作業をつっこんでもどうにもなりません。TODOリストを作っても、それは同様です。

TODOリストを作ることで、「やること」を思い出す時間が多少減ったり、段取りがうまくなることで作業の連絡がスムーズになったりする「効率化」が起こることはありますが、それでも2時間分の「空白時間」を捻出することはまずできないでしょう。結局のところ、TODOリスト作りでやっているのは、「やることの整理」です。それ以上でも、それ以下でもありません。

ノウハウ系コンテンツが、「これさえやれば(すべて)うまくいく」的に効能を大げさに謳うことで、実際にそのコンテンツが具体的に何をもたらしているのかを曖昧にしている現状があり、あたかもTODOリスト作りが「すべての問題解決をもたらしてくれる銀の弾丸」のように認識されることがあるのですが、もちろんそんなわけはありません。「やることの整理」は「やることの整理」以上のものではないのです。

結果的に、何も考えずにTODOリストを作っていても、つまりTODOリストさえ作っていれば仕事に関する問題は何も起こらないと認識しているだけでは、いずれ破綻がやってくることは避けられません。TODOリストの破綻です。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「TODOリスト」によるタスク管理が、たった数週間で破綻してしまうワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け