「TODOリスト」によるタスク管理が、たった数週間で破綻してしまうワケ

 

■経験から理解できること

よって、最終的な結論としては「デイリータスクリスト形式で運用した方がよい」となるのですが、一方でそこまで単純な解法にしてしまってもいいものだろうか、という疑問もあります。どういうことでしょうか。

私がデイリータスクリスト形式で運用できているのは、「TODOリストは、そのままだとすぐに破綻してしまう」と実感として知っているからです。体感的に理解している、と言い換えてもよいでしょう。その理解は、実際にTODOリストを作り、それを破綻させた経験から来ています。もっといえば、何度もTODOリスト作りにチャレンジし、何ヶ月か後に失敗に至った経験から来ているのです。

私はそうした経験から、「なるほど、人間ができる“やること”には限界があるのだな」としみじみ納得しました。あれもこれもやろうとしても、達成できるものではない。魔法でも使わない限りは、すべての「やること」を成し遂げることは不可能なのだ、と。

そうした理解があるからこそ、デイリータスクリストを作るときもむやみやたらにタスクを詰め込んだりはしませんし、ある時期にコミットする「プロジェクト」もその上限を3つまでと定めています。

そのような運用方法は、記述できる「ルール」ではありますが、そのルールの裏側に体験的な理解があることは忘れてはいけません。盲目的にルールに従っているのではないのです。「どうせ“やること”のすべてはできないのだから、限って運用しよう」という想いがあるからこそ、そのルールが機能しているのです。

■失敗を経る

そのような体験的理解がルールを裏書きしてくれるのだとしたら、一度くらいは「TODOリストを破綻させる」という経験を積んだ方がいいのかもしれません。

私としては、さまざまな試行錯誤と失敗を繰り返してきて、一つの「結論」に達しているので、これから同じような道を歩く人には挫折してもらいたくないと思って、その結論をダイレクトに伝えたくなりますが、そのような配慮はもしかしたら「行き過ぎている」のかもしれません。

もちろん、挫折は回避できるのが一番ですが、「TODOリストを破綻させる」ことは失敗ではあっても、挫折ではないでしょう。むしろ、そうした失敗を挫折に変えてしまうような何かしらの因子があるはずなのです。

逆に言えば、そうした因子を取り除き、TODOリストを破綻させた後でもその経験を活かして新たなる試行へと挑めるアプローチが取れるならば、いろいろなことをそこから学び取ることができるようになるでしょう。

むしろ「これが正解だ」と大上段に構えるよりも、「私はこういう挫折をくぐり抜けて、こういうやり方に至りました」というプロセスを伝える方が、実際は「親切」なのかもしれません。(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2022年10月17日号より一部抜粋)

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

倉下忠憲この著者の記事一覧

1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 』

【著者】 倉下忠憲 【月額】 ¥733/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • 「TODOリスト」によるタスク管理が、たった数週間で破綻してしまうワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け