中国とインドが反対表明。核の脅しさえも使えなくなったプーチンの末路

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これまで幾度となく、ウクライナ戦争での核兵器使用を仄めかしてきたプーチン大統領。しかしここに来て突然、ロシア外務省が核保有国に対して「核戦争の回避」を呼びかける声明を発表しました。その裏にはどのような事情があるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ウクライナ戦争の戦局を詳しく紹介するとともに、「核の脅し」をプーチン氏が引っ込めざるを得なくなった理由を解説しています。

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ロシア軍形勢不利も、ウクライナ軍の攻撃停滞

ウクライナ侵略戦争は、ロ軍形勢不利な状況であるが、冬に向けて、ウ軍の攻撃も減速している。今後を検討しよう。

ウ軍は、ルハンスク州で交通の要衝のスバトボに向かっているし、ヘルソン州では、ムイロベに向かっている。これに対して、ロ軍はヘルソン州南部から精鋭部隊を徐々に撤退させているようだ。その代わりに、動員兵を送り込んでいる。しかし、これらの戦線の動きは少ない。

ロシアは、北朝鮮とベラルーシ、イランから弾薬も調達して、前線に送り、ウ軍と同等レベルの砲撃を維持しているが、いつまでもつのかだ。今は泥濘で砲撃戦をお互いに行うしかないようである。

クレミンナ・スバトボ攻防戦

ウ軍は、クレミンナ周辺に到達して、クレミンナのロ軍基地に対して、砲撃しているが、偵察部隊を出して、ロ軍の状況をみている。

ウ軍は、もう1つ、クピャンスクからP07を南下してスバトボに向け進軍しているが、進行速度が大きく落ちている。秋恒例の泥濘で、装甲車両が舗装道路以外で走行不可になっていることで、攻撃に必要な装甲車を先頭に立てて攻撃できないためである。

このため、冬になり、地面が凍結して装甲車が走行可能になるまで、大きくは動けないようである。それと、冬になり、ウ軍がより優勢になるとみて、今は攻撃を控えているようにも見える。

ウ軍には、防寒着が世界から援助されているが、ロ軍には防寒着も個人での用意であるし、それを買う給与は出ていないという。凍死の危険がロ軍にはある。

ウ軍の攻撃が弱まり、ロ軍は大量の動員兵をスバトボに送り、体制を立て直したいようだ。しかし、ルガンスク州マケーエフカの前線に投入された動員兵は、塹壕を掘れと命令されたその明朝にウ軍に砲撃され、将校は逃亡。570人いた動員兵の内、無傷で生き残ったのは29名、負傷者は12名、残りは全滅だったという。大量戦死が発生しているようだ。HIMARSの砲撃は正確でかつ面攻撃であり、大量の犠牲者が出る。

ウ軍は、P07南下の装甲部隊がチェルボノピフカを攻撃したが、クレミンナ攻撃のウ軍は、兵力が少ないのか、攻撃が弱いような気がする。このため、部隊間の隙間を通り抜けて、前線から遠いテルニーをロ軍が攻撃できるようである。このほかにもロ軍は攻撃して、ウ軍の攻撃を遅らせている。

もう1つが、この地域には親ロ派の住民が多く、ウ軍部隊の情報がロ軍にもたらされているようにも見える。

それでも、ウ軍はP66から北上して、来週にはスバトボを総攻撃すると見られている。現在、スバトボから10km程度の所まで、ウ軍は到達しているからだ。

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