中国とインドが反対表明。核の脅しさえも使えなくなったプーチンの末路

 

同じように、前線に配備された動員兵にも報酬がないので、戦闘に行くのを拒否する兵士が出て、これを防止する「督戦隊」と呼ばれる部隊を展開し始めたという。

戦闘拒否の兵員の処刑や拷問が行われているという。ロシアの囚人たちも状況を知り、応募しなくなり、フリゴジン氏は、旧アフガン軍人を狙って動いているようである。

一方、ロシア国内でも、装備を自分で調達する必要があるなど動員兵の処遇が悪くて、ウクライナ戦争への不満が出て、プーチンは、ウクライナ侵攻について、2月にロシアが始めなくても、いつかは戦争になっていたし、ロシアに開戦の責任はないとの認識を示した。

大祖国防衛戦争にしたいようであるが、動員兵たちは労働報酬のために戦うので、報酬がないことで国民と指導者層の思惑が大きく違っている。

このため、プーチン政権内で、侵攻戦争を「聖戦」にするために、ウクライナや欧米を「悪魔」と批判し、「非サタン化」が必要だと主張して、動員兵に戦争の意義を提示して、無報酬でも戦えというようだ。それには、無理がある。ロシア正教以外に、イスラム教徒も仏教徒もいるので、聖戦の意味が宗教によって違うからだ。

プーチンの負け戦で何をするかわからないと、ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク国防相は、ロシアの飛び地カリーニングラードとの国境に、不法越境を防止するためのフェンスを設置するとした。難民をロシアが送り込む危険があるためで、その防止策である。

もう1つ、独ショルツ首相は、中国を訪問したが、その首脳会談で、習近平主席は「国際社会は核兵器の使用や威嚇に共同で反対すべきだ」と述べた。

これは、ロシアのプーチン政権が核戦力の使用も辞さない姿勢を見せるなか、中国は明確に、ロシアの核使用に反対であることを明示したことになる。これで、インドと中国の両国から核使用反対がロシアに述べられたことになる。

このため、ロシア外務省は、核戦争を回避するよう米国などの核保有国に呼びかける声明を発表した。

しかし、これは、自分たちが核の脅しを使っていることで、インドや中国からも非難され、仕方なく、核の脅しを引っ込めることにしたということだ。

その上、独ショルツ首相は、中国の李克強首相との共同会見で、「私は台湾のいかなる現状変更も平和的、もしくは相互の合意によるものでなければならない」と述べた。

主要7カ国(G7)外相会合は、ロ軍の攻撃によって被害を受けているウクライナのエネルギーインフラ復興に向けた支援をするとしたように、世界からウクライナは支援されている。

しかし、一方、ロシアに一定の理解をしていたブルガリア議会でもウクライナへの軍事援助を開始するかどうかを問う法案が採択され、結果、賛成175反対49の圧倒的多数で可決となった。

ロシア寄りな面もあったブルガリアもとうとうウクライナ側に変わった。「池に落ちた犬は叩け」である。

その結果、世界の潮流がロシア叩きの中、国際司法裁判所も、ロシアにウクライナでの軍事行動の即時停止を命じた。

欧米日豪など多数の世界の国々対ロシア・イラン・北朝鮮の構図になってきた。そして、中国とインドは中立的な立場をキープする。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2022年11月7日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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