中国とインドが反対表明。核の脅しさえも使えなくなったプーチンの末路

 

南部ヘルソン州・ザポリージャ州・クリミア攻防戦

ロ軍は、ムイロベとプラスキンズキーを結んだ線上に塹壕を掘り、防衛線を構築した。ウ軍は前進してスハノバまで来て、ムイロベの攻撃をしていた。

しかし、それ以上の前進ができないでいる。ロ軍は精鋭部隊を温存するために撤退させて、その代わりに動員兵を送り込んでいる。

ロシアのスロビキン総司令官は、ドニエプル川西岸のロ軍の撤退を完了したとして、ヘルソン市庁舎のロシア国旗をおろしている。そして、ロ政府は、ドニエプル川右岸に残った公務員や年金生活者等に対し、給料や年金の支払いを停止した。

ウ軍の攻勢で引くと喧伝して動員兵を捨て駒にして時間を稼ぎ、精鋭を第二防衛線で市街地陣地を強化、インフラを破壊し、住民には即時避難を呼びかけて、ロシア占領地に退避させて、残った住民には24時間の外出禁止令を出して嫌がらせだ。

このため、ウ軍は偵察隊を出して、ロ軍の配備状況を見ているようであり、撤退の報道をロ軍の罠かもしれないと警戒している。

ザポリージャ原発に再度、砲撃があり、送電が止まっている。現場にある発電機で冷却施設を動かしているが、燃料は2週間分しかないという。ロシアは、ウクライナが「汚い爆弾」を使う準備をしているとしたが、IAEAは、ウクライナの原子力施設を監査して、そのようなことをしていないとした。

そして、クリミア半島のセバストポリの軍港攻撃されたことで、ロシアは、ウクライナ産穀物輸出合意の履行を無期限停止するとしたが、トルコと国連が保証する形で、ウクライナ穀物輸出を続けるとして、11月1日、12隻の貨物船をオデッサ港から出航させていた。

このため、ロシアは2日には、ウクライナ産穀物輸出協定に復帰した。

黒海での艦艇数は、トルコがロシアの6倍以上も有し、ロ軍はト軍に勝てないことは、自明であり、トルコ艦艇が護衛した所を、ロ軍は攻撃できない。このままでは、ロシアはトルコとの関係も維持できず、停戦協議の仲介役を無くすことになる。このため、ロシアは復帰したようだ。

バクムット方面

ワグナー部隊の戦術が酷い。バクムットの前線では、午後6時前後から、ロ軍囚人兵など7、8人前後がウ軍陣地に向けて前進を命じられ、ウ軍部隊に向かってやって来る。一行の任務は、前進してウ軍兵が発砲せざるを得ない状況を生み出し、それで陣地の場所を探り当て、その後、ロ軍は、探し当てたウ軍陣地に向けて、大砲を撃ち込み、その後ロ軍の精鋭部隊を送り込んでくるという。

ということで、ロ軍の「使い捨て兵士」の大半が戦死する運命にある。しかし、それでもウ軍陣地を突破できていない。このため、交戦が続くバクムットのM03とT0504の交差点付近は、ロ軍兵の死体が多数ころがっているという。死体回収もできないからであるが、地獄の景観だという。

そして、ロ軍の損害は、夏から現在にかけて、少なくともこの地域で約7,400名も出ているようであり、それと、ロ軍内ではコロナと赤痢が蔓延しているともいう。

このため、ロ軍は、装甲機械化部隊を派遣して、膠着した前線を突破する作戦を立て、十数両の装甲車両で攻勢に出たが、全部撃破され、装甲車に随伴した歩兵も撃退されたようだ。

もう1つ、ワグナー兵士の戦死は、ロ軍の戦死者数には反映しない。そして、ウ軍発表のロ軍戦死者数には反映する。

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