中国の誤算。世界の中心に自らを置いてきた習近平政権の大問題

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あらゆる面において日本を猛スピードで抜き去り、今やアメリカの地位をも脅かすまでの国家となった中国。しかしその強大さが、今後の成長の妨げになるという思わぬ事態を招いています。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、香港の有力紙に掲載された「中国が直面する3つの課題」を論じる記事を紹介。「成功の結果」が習近平政権の足かせとなっているという皮肉な現状を伝えています。

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大きくなりすぎた中国の課題

海外の新聞報道で大きなスペースを占めるのが中国です。

ロシアのウクライナ侵攻中でも中国の脅威の方が大きな取り上げられ方をしたりしています。

そんな中でご紹介するのは香港サウスチャイナモーニングポストに11月19日に掲載されたアビシャー・プラカシュ氏の意見記事です。

中国が直面する3つの課題を論じています。

この数十年で初めて、中国の未来は宙に浮いている。

 

米国がチップの輸出を制限するなどして、中国から世界を締め出そうとしていることをはじめ、多くのグローバルな問題が中国を苦しめている。

 

中国が世界をリードするという予測は、今や疑問視されている。皮肉なことに、中国自身の成功の結果である。

 

中国は3つの大きな問題を解決しなければならない。

 

第一は、中国が各国を引き留めなければならないことである。

 

ザンビアは中国に借金があるにもかかわらず、中国の融資を受けるのをやめ、代わりに国際通貨基金に頼った。

 

バングラデシュでは、財務大臣が他の途上国に対して中国からの融資を受けることを警告している。

 

地域全体が中国から離反しているのだ。

 

欧州連合(EU)は中国への依存を減らす方向に動いている。東欧では、ラトビア、エストニア、リトアニアが離脱し、中国の16+1協力体制が崩れつつある。

 

大国も新興国も、中国との関係を疑問視している。彼らは中国に依存したくないである。

解説

16+1とは「一帯一路」構想に関連して、中国と中東欧16カ国が経済協力を進める枠組みです。

2012年に発足しました。首脳を集めるサミットがほぼ毎年開催されています。

しかし、昨年は少なくとも5カ国の首脳が欠席したそうです。

引き続き記事を見ましょう。

第二の問題は中国はグローバルなアクセスを失いつつある事である。

 

過去、米国は中国がこのアクセス権を獲得するのを助けたが、現在は消費者、投資、技術という3つの重要な面で中国を締め出そうとしている。

 

世界の半導体チップの多くは、もはや中国に売ることができない。英国、ルーマニア、日本といった国々は、中国の5G技術を拒絶している。

 

イスラエルなど、中国が技術に多額の投資をした他の国々は、態度を変えつつあるようだ。

 

第三の問題は中国は旧来のグローバリゼーションに投資していることである。

 

今日、新しい形の「垂直的グローバリゼーション」が始まっている。世界は分裂・細分化し、各国は古い制度やシステムを捨てつつある。

 

中国が力をつけてきたのは、この古いグローバリゼーションのデザインである。

 

サプライチェーンであれ、ガバナンスであれ、中国は何十年にもわたって、消えゆく世界の中心に自らを置いてきた。

 

日本のエアコンメーカーであるダイキンがサプライチェーンを中国製部品から切り離したり、インドが外国企業に中国の北斗ではなく自国のナビゲーションシステムの利用を奨励したりと、中国が投資する領域は再構築されつつある。

 

チップ4やD10といった新しいグループ分けには中国が含まれていない。

 

さらに、中国の最も野心的なプロジェクトである「一帯一路」構想が四面楚歌の状態にある。

 

世界が壁だらけになっていく中で、縦割りの世界における中国の位置づけはどうなっていくのだろうか。

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