ポーランドミサイル着弾事件の濡れ衣をロシアに着せようとしたのは誰か?

 

NATOの事務局や米国は結局、ロシア犯人説を採用しなかった。ポーランドに着弾したのがロシアでなくウクライナのミサイルだったことは着弾した瞬間からNATOのレーダーに映っており、NATOや米国がロシア犯人説を採用しなかったのは「常識」で考えると当然だ。だが、常識が通らず、ウソと非常識が次々に延々とまかり通るのがウクライナ戦争だ。ポーランド政府は、レーダー情報などから、着弾したのがウクライナのミサイルだったことを最初から知っていたはずだが、意図的にそれを無視してロシア犯人説をとった。NATOや米国も、ロシア犯人説こそ正式採用しなかったが、誰が撃ったのかわからないという姿勢をとり、米国側のマスコミがロシア犯人説を喧伝するのを誘発した。

Ukraine and western allies at odds over missile that exploded in Poland
US says Russia ‘ultimately responsible’ for Poland missile incident

NATOや米国は、ポーランド政府がウクライナ犯人説に転向するのと前後して「着弾したのはウクライナのミサイルのようだ」と言い出した。ウクライナ犯人説が優勢になったが、それで確定したわけでなく、この事件の全容は曖昧なままだ。11月15日、ロシア軍がウクライナのエネルギーインフラをミサイル攻撃しており、露軍が飛ばしてきたミサイルをウクライナ軍がS300で迎撃している時に、迎撃用ミサイルの1発が正しく発射されずポーランドに飛んでしまった可能性がある。米高官の中には「だから今回の事件で悪いのはロシアだ」と言っている者がいる。民間専用の設備を破壊すると戦争犯罪だが、露軍が攻撃したのは軍民共用の設備なので戦争犯罪にならないという説もある(ウクライナがロシアのインフラを攻撃してきたので露軍が報復した)。どちらにせよ、ウクライナ軍が発射した迎撃ミサイルの1発がポーランドに着弾したことは、NATOもポーランドもウクライナもレーダーで瞬時に知ったはずだ。それをウクライナがすぐに認めて発表していたら、今回のような世界大戦につながりうる事態にならなかった。

Russian experts explain why NATO brushed the Poland missile incident under the carpet
Kyiv Demands Access To Poland Blast Site, Doubles Down On ‘Russian Attack’ Narrative

ゼレンスキー大統領のウクライナ政府は、事件発生後すぐにロシア犯人説を声高に言い出し、翌日にポーランドがウクライナ犯人説に転向した後もロシア犯人説に拘泥し、転向したポーランドに対して「ウクライナのミサイルだというなら証拠を見せろ」と言い続けた。NATOや米国がウクライナ犯人説に傾き、米高官がウクライナ政府に電話してロシア犯人説への拘泥を批判したと報じられた後、ようやくゼレンスキーはこの件について沈黙した。ウクライナではメディアの論調がゼレンスキーに批判的になったが、ゼレンスキーは批判的なメディアを潰しにかかっている。

Washington reprimanded Kiev over missile incident – CNN
Zelensky cracks down on popular news outlet as repressions against media intensify in Ukraine

こうした経緯からして、ミサイルがポーランドに飛んだこと自体は偶発的な事件だったとしても、その直後に米政府の担当者がウクライナとポーランドに連絡してロシア犯人説を採らせた可能性がある。米国は2014年の政権転覆(マイダン革命)以来、ウクライナ政府を傀儡として動かしている。レーダーの記録や現場のミサイル破片の製造番号など、物的証拠があまりに明白なのてポーランド政府が転向し、はしごを外されて犯人扱いされたゼレンスキーが「証拠を見せろ」と騒ぎ、米当局者が電話して黙らせた。そんな経緯が感じ取れる。

Did Ukraine Try To Trick NATO Into Starting World War III After It Accidentally Bombed Poland?
Zelensky Backtracks After Urging NATO Action For Polish Border Blast

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