今までお金持ちを優遇しすぎた日本。元国税が今すぐ導入を勧める「富裕税」とは?

 

アメリカでも導入が検討されている富裕税とは?

資産に対する課税で、現在の日本でもっとも有効と思われるのは、富裕税です。富裕税というのは、余剰資産にかけられる税金です。フランスなど先進国の一部で導入されているもので、金持ちに対して直接、課税できる税金です。アメリカでも昨今、検討されているといわれています。

たとえば、「1億円以上の資産を持っている人に1%の税金をかけましょう」というような仕組みです。1億円の資産を持っていない人には、税金はかからないのです。富裕税は資産にかかる税金なので、国民生活に直結するものではありません。また富裕税は、税率は低くていいので金持ちにとっても、負担感はそれほど大きくはありません。わずか資産の1%、最大限に増税したとしてもせいぜい2%程度でいいのす。数十億円持っている人が、その1~2%を税金で払ったって、大勢に影響はないのです。

そして富裕税というのは、わずかな税率で莫大な税収を生むものです。日本には個人金融資産が2,000兆円以上あります。また国民純資産(国富)は4,000兆円近くあるとされています。国民総資産というのは、国民の総資産から総負債を差し引いたものです。

これに1%の富裕税を課せば、概算でも40兆円の税収となります。その多くを資産1億円以上の富裕層が握っているとみられています。資産の少ない人を課税免除するとして、その減収分を差し引いても2~30兆円は優に稼げるのです。消費税10%のときの税収が20兆円なので、たった1%の富裕税で消費税10%以上の税収が稼げるのです。

今の日本の財政問題の大半はこれで片が付くし、中間層以下の人たちに大幅な減税もできるでしょう。そうすれば、消費も上向くはずです。金持ちが所有する資産に、たった1%の課税をするだけで、日本の懸案事項はほとんど解決するのです。

富裕税に関しては、日本でも戦後の一時期に導入されたこともありましたし、その後も何度か復活が議論されたことがありましたが、金持ちの反発が強く、現在は完全に忘れられた存在になっています。しかし、現在の危急の際だから、是が非でもこの富裕税を成立させるべきです。金持ちが文句を言って来れば、多数決で締め上げればいいのです。

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