今までお金持ちを優遇しすぎた日本。元国税が今すぐ導入を勧める「富裕税」とは?

 

国民健康保険の納付書などには「国民健康保険税」と記されています。そして社会保険料の負担率を加味した場合、「富裕層優遇」というのは、さらに鮮明になるのです。今、国民の多くは、社会保険料の高さに苦しんでいます。社会保険料は年々上がり続け、税金と社会保険料を合わせた負担率は40%にのぼっています。これは実質的に世界一高いといえます。

「日本は少子高齢化社会を迎えているのだから、社会保険料が高くなるのは仕方がない」国民の多くは、そう思って我慢しているはずです。しかし、しかし、富裕層の社会保険料の負担率は、驚くほど低いのです。5億円の配当収入者ではわずか0.5%に過ぎないのです。現在の社会保険料は、原則として収入に対して一定の割合で課せられています。たとえば厚生年金の場合は約8%です。しかし社会保険料の対象となる収入には上限があります。たとえば国民健康保険の場合は、介護保険と合わせて約100万円です。つまりいくら収入があろうが100万円以上の保険料は払わなくていいのです。

国民健康保険の上限に達する人は、だいたい年収1,200万円程度とされています。ということは、1億2,000万円の収入がある人の負担率は、年収1,200万円の人の10分の1でいいのです。6億円の収入がある人は、50分の1でいいのです。収入が増えれば増えるほど、社会保険料は負担率は無料のように安くなっていくのです。

社会保険料の上限制度というのは、ほかの先進諸国にもありますが、欧米の先進諸国では、社会保険料の負担の多くを企業が担っています。企業が社会保険料の大半を担っているということは、間接的に株主が担っているということであり、富裕層が担っているということになります。が、日本の場合、サラリーマンの社会保険料は企業と社員が折半となっていますし、そもそもフリーターなどの場合は、会社から社会保険に入られないことが多く、全額自費で払っていることが大半です。

また金持ちは消費税の負担率も非常に低くなっています。消費税の場合、低所得者は収入のほとんどを消費に回してしまうので、「収入に対する税負担率」は限りなく消費税率に近づきます。しかも日本の消費税は、ヨーロッパ諸国の間接税のような生活必需品の税率を非常に低く抑えるというような配慮もありません。だから、低所得者の消費税負担率はほぼ10%になるのです。

その一方で、富裕層は消費するのは収入のごく一部であり、収入の大半は貯蓄や投資に充てられます。年収5億円の人が年間1億円を消費し、残りの4億円は貯蓄や投資に充てた場合は、収入に対する消費税負担率は2%になります。つまり収入に対する消費税負担率で見た場合、年収200万円のフリーターの方が、年収5億円の配当所得者よりも何倍も高いのです。このように、日本の税制というのは、よくよく詰めていくと、金持ちがものすごく優遇されているのです。

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