テックの混乱については、50%ぐらいの確率で2001年のITバブル崩壊のような時価崩壊があるかもしれません。それを回避するには、AAPLとGOOGによるメタバースへの投資加速、クリプトへの「規制・法制=監督・税制の整備」ということだと思います。FTX破綻の原因は、制度なき無政府状態が作り出したものであり、業界は政府の無策を怒るだけでなく、実施可能な制度を具体的に提案すべきです。
米国の政局は、この間、散々議論しましたので割愛しますが、とりあえず左右のポピュリズム暴走の速度は抑制されており、年明けの3月ぐらいまではやや小康状態が期待されます。この期間に、米経済の強引な軟着陸ターンアラウンドができるのか、非常に難しい問題ですが、ギリギリのところで破綻回避ができるか、やはり2001年もしくは2009年レベルの混乱(その中間ぐらいかもしれませんが)になるのか、転換点になりそうです。政局の帰趨は、要するに経済と表裏一体として見てゆくことになりそうです。
最後に中国ですが、この間の急速な「ウィズコロナ転換」による、感染の暴走ですが、例えば新政権の中枢が「希薄な免疫を前提に、ちゃんと想定して」進めたのか、そうではなくて、今回の規模のリアクションを前に「狼狽」しているのか、よく分かりません。
仮に、浅慮がベースにあり、想定を越えた感染に翻弄されており、「ゼロコロナ不況」を遥かに上回る「ウィズコロナ不況」が爆発してゆくことで、ゾンビ企業と、ゾンビ負債の清算との2重苦で政権が押しつぶされそうになると、かなり「マズイ」ことになります。
ただ、こうしたファクターが積み増さなって最悪のシナリオに突き進むという可能性は、当面は考えなくて良さそうです。定年延長で権力を強化した王毅が、日中関係の改善を言ってきている、その真意を見極める中で、日本として軍事外交面での「安全」を確保する契機と捉えて動くことが求められそうです。
いずれにしても、世界が大きな転換点に差し掛かっている中、原理原則に立ち返っての考察と、意思形成ということが問われるのだと思います。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年12月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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