プーチンと“同じ過ち”を犯すことになる日本。石垣・宮古に「攻撃ミサイル基地」という愚行

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これまで2回に渡り、岸田政権が防衛政策転換の拠り所とする「日本が脅威にさらされている」という主張がいかに国民を欺くものであったかを解説してきた、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、何が「島嶼防衛論」を生み出したのかを暴くとともに、我が国の敵基地攻撃能力の保有がどれだけの危険を招くかについて解説しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年12月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

日本が直面している「脅威」とは。ある日突然に中国軍が尖閣、与那国、宮古に侵攻?

前号で「北の難民が一部武装して離島に」という与太話が「中国漁民に偽装した武装民兵が尖閣を占拠」というもう1つの与太話に移し替えられてきたことを述べた。私はこのことについて何人もの自衛隊関係者や政府寄りの専門家と議論したので、そのエッセンスを1つの「仮想対話」として描くことにしよう。

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Q:しかし、そもそも中国が尖閣の岩礁を盗ったとして、国際法を無視し全世界を敵に回すだけでなく、現実に米中全面戦争となるリスクまで冒して一体何の利益があるのか。

A:いや、だからそれは手始めで、次に与那国島を狙うだろう。

Q:それじゃあまるで、かわぐちかいじの劇画『空母いぶき』の冒頭部分と一緒だ。漁民のふりをした中国の工作員3名が尖閣に上陸したのを前触れに、やがてそこに大隊規模の部隊が侵入して巨大な五星紅旗を立て、それと同時に与那国と宮古の自衛隊レーダー基地がミサイル攻撃で破壊され空挺部隊が降下してくる……。あなた方、漫画の読み過ぎですよ。

A:いやいや、そこを足がかりに、島伝いに沖縄本島、やがて本土に迫ってくる。そうなったら一大事だ。

Q:あのですね、島伝いに本島へ、本土へというホッピング(飛び石)作戦は第2次世界大戦の米海兵隊で終わりなんですね。あの当時でも、島々に守備隊を事前配置して「島嶼防衛」を図るという構想は、沖縄本島を含め、すべて失敗で、住民を巻き込みながら現地部隊が全滅するということを繰り返した。ましてやミサイル時代の今ではナンセンスでしかない。半端な守備隊や申し訳程度のミサイル攻撃部隊など置いている方がかえってターゲットになりやすい。

A:確かに守備隊方式は完全ではない。そこで水陸両用の米海兵隊タイプの着上陸侵攻部隊を創設して「奪回」能力を身につけるのだ。

Q:「奪回」ということは、初戦でもう島は盗られてしまっているということだ。盗られないようにするのは無理だと最初から認めていることになる。何を言っているのか分からない。

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