ファストファッションのブランドが台頭したり、イオンやららぽーとなどの、大規模ショッピングモールができてきたりと、ここのところ百貨店という業態だけで、他の商業施設と差別化をすることが難しくなっています。
それに、若い顧客層を取り入れたい、という戦略もあいまってこのように、旧来の婦人服フロアで雑貨や食品も販売しよう、という取り組みになったのでしょう。
小売業では、お客様のその店への訪問頻度が、多ければ多いほど売り上げにつながりますし、その店での滞在時間が長ければ長いほど、よく売れます。
これはネットもリアルも同じです。
百貨店で売っているもので、一番頻度多く買いに来るものはやはり食品ですし、食品を買いに来た人が、1フロアに雑貨や服が置いてあれば、回遊性も上がるし、滞在時間も増えますよね。
お客様の立場からしても、色々な種類の商品を見る楽しさと便利さがあります。顧客視点からしても、興味のある取り組みです。
この取り組みにより、外商顧客からの売り上げ増や、ブランディングのアップなどに貢献できるとのこと。
この事例から学べることは、「既成の考え方にとらわれてはいけない」ということです。
デパートの婦人服売り場には、婦人服だけを売る場所に決まっている、と思い込んでいたら、この発想は出てきません。
また、「婦人服売り場で何を売ろうか?」という思考回路からだと、顧客の本当に欲しい、「買う楽しさ」を提供できなくなります。
顧客が本当に欲しいものは何か?そのために何ができるか?という発想のステップが、このような新しいアイディアにつながるのです。
やはり人は楽しいところに集まります。その意味でも楽しみな近鉄百貨店の取り組みです。
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
image by;r.nagy / Shutterstock.com