そして、もう一つ注目されているのが、「男女賃金の差異」の情報公表の義務化です。正規、非正規、全従業員の区分ごとに、男女の賃金差異の開示が求められます。
しかし、年齢や勤続年数など、より細かな属性による差異の情報までは求めていないので、公表されるのはいわば「平均値」です。平均値ほど意味のない数字はありません。企業側はあれこれ言い訳をつけることも可能です。
日本の女性の賃金は男性と比べて2割以上低く、OECD平均より格差が大きいのにこれまでほとんど手はつけられてきませんでした。欧州などでは格差是正のために、学歴や年齢など同じ属性の男女で賃金を比較する計算ツールが政府から提供されています。
日本でも法律はできた、施行された、で終わりにするのではなく、手間をかけて差別撤廃を進めてほしいです。これまでも日本はさまざまな法律は作るけど、法律のための働き方改革になってる側面が大きく、働く人たちの問題を解決するほどの実行性に乏しい、という状況を繰り返してきました。
いまだにパワハラ問題は続いていますし、男性の育児休暇取得率も期待するほど進んでいません。本当に変わる気があるのか?それが問われているのです。おまけに対象となるのは正社員ばかりです。
リスキリングなどを精力的に取り入れている企業も少しづつ増えてきましたが、対象は正社員のみで、相変わらず非正規は蚊帳の外です。
この異常な雇用環境を変えるには、繰り返し書いている通り、
- 非正規=有期雇用を禁止すること
- やむをえず有期雇用をする場合は、会社にインセンティブを与えているという理由から無期雇用(正規雇用)より高い賃金設定にすること
- 最低賃金を他の先進国並みまで上げること
の3点を徹底してほしいです。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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