「プーチンはクレイジーだ」中国が露を見限り欧米との関係修復を図りはじめている

 

これに対して、ウクライナは、ロ軍の人海戦術で停滞した戦況を転換するために、レオパルト2戦車と装輪装甲車、F-16戦闘機、アパッチヘリやATACMSなどの長射程爆弾などの迅速な攻撃ができる兵器・弾薬やロ軍のインフラ攻撃防止の防空システムの供与を欧米諸国に要請している。

この要請に対して、「前線を突破する必要がある。詳細は言えないが、現下の状況では、われわれはそうした必要性を認めている」と、コリン・カール米国防次官(政策担当)は、記者団に語った。「この挑戦をウクライナがどう克服するか、われわれは熟慮しなければならない」と。

このような欧米攻撃兵器がウクライナに提供されると、ロシアは負ける可能性が出る。このため、「通常戦争での核保有国の敗北は、核戦争の引き金になり得る」とロシアのメドベージェフは、けん制の発言をしている。

ウ軍は、ポーランドから提供された200両のPT-91などの攻撃兵器を温存してきたので、戦局転換の攻撃をしようとしたが、カール米国防次官から、米国による新たな兵器供給と訓練が完了するまで、ロ軍に対し大規模な攻撃を展開することを控えるよう提言された。

人的損害を少なくして、効果的に戦局を転換した方が良いということである。このため、ウ軍は攻撃に必要な兵器や弾薬のリストを作り、武器供与の第8回支援国会合が20日、ドイツ西部ラムシュタイン米空軍基地で開かれたが、その会合前にリストを提出した。

この会合で、オースティン米国防長官は会議の冒頭で、ウクライナ紛争に転換点が訪れていることを宣言した。防御から攻撃への転換という意味だ。

しかし、ドイツは、米国がM1エイブラムス戦車を供与しない限り、レオパルド2戦車の提供を承認しないという。ドイツのボリス・ピストリウス新国防相も、この件はショルツ首相次第だと指摘した。

政治資金援助をロシアから受けていたので、ショルツ首相はロシアからの非難を受けたくないので、ドイツの認可を取らずに、ウ軍に提供してほしいようである。

このため、ポーランド政府は、ドイツの許可なしにレオパルド2戦車をウ軍に供与するとした。

そして、ホーランドの他に、フィンランド、デンマーク、ポルトガルは既に供与を表明しているが、チェコとスロバキアも供与すると表明した。これらにより、レズニコフ国防相が要請した300両のレオパルド2戦車が、手に入る目算は立っている。

後は、ドイツの承認かドイツの承認なしの提供かのどちらかでの実行が必要なだけになっている。

フランスは「ルクレール」戦車の提供を表明、スウェーデンはCV90装甲車、アーチャー自走砲の供与、英国は精密誘導弾ブリムストーン600発を提供するとした。デンマークはカエサル自走榴弾砲19台の提供、オランダはF-16戦闘機の供与を検討し、多数の国から大量の攻撃兵器の供与をウ軍は受けることになる。

特に、射程150kmのGLSDBが供与されると、ロシア国境地域まで届き、軍物資集積所を破壊できることになる。また、ロ軍は、物資集積所をこのロケット弾の届かない場所に移すことが必要になる。

このように、大量の攻撃兵器がウ軍に渡ると、ロ軍の勝ち目がなくなるので、最新鋭のT14アルマータ戦車の戦場投入した大規模攻勢を近く始めるようである。キーウへの再攻撃もあるかもしれない。

そして、このような攻撃兵器がウ軍に渡っても、ミリー米統合参謀本部議長は、「今年中に、ウクライナの隅から隅まで軍事的にロ軍を駆逐することは極めて難しいだろう」とした。2024年まで戦争は続く可能性がある。

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