それでも、ロシアの戦争犯罪を裁く国際特別法廷を設置することをEU会議で決議し、EUの特別検察官からも、国際的な特別刑事検察官を設けるべきとの意見が出ている。しかし、国際的な法廷設置には、国連の決議が必要であり、まだ道のりは長い。しかし、ロシアが敗戦になると、プーチンを始め、今のロシアの指導者は、すべて死刑になることが確定している。
このため、トルコのエルドアン大統領は、ゼレンスキー大統領との電話会談で、ロシアとウクライナの仲裁を行うという申し出を改めて伝えた。ロシアとしては、ドンバスとクリミアを確保することで、停戦したいようである。戦争を止めるには、クリミアとドンバス確保で諦めるしかない。その他の地域からの撤退でも、戦争には負けていないとするようだ。それと、停戦で国際法廷を阻止するしか、ロシア指導者の生きる道はない。
そして、キッシンジャー元米国務長官も、停戦の条件として「ロシアが侵攻前の境界線に達したとき」というので、ロシアも戦争を終結させるために、その辺りを目指すしかないようである。
もう1つが、ベラルーシのプリビトキ空軍基地にS300が設置されていて、このS300から発射されたミサイルは、キーウまで2分しかかからない。防空ミサイルでは撃ち落せない。
このため、ウ軍は、このS300を破壊する必要になる。しかし、ロ軍の早期警戒機やMIG31などの戦闘機、ka-52戦闘ヘリなどがいる。ウ軍ミサイルが空軍基地に着弾すると、ベラルーシも参戦するしかなくなる。そして、キーウへの大規模攻勢になる可能性もあり、このS300は、要注意である。
もう1つ、戦争の推移では、ウクライナの航続距離1,000kmの無人機「キジバト」やTu-141などがあり、これらから守るために、モスクワのプーチン大統領官邸から10キロの地点に防空システムを設置した。
徐々にロシア国内を攻撃する手段がウ軍も独自で持ち始めたことで、「目には目を、歯には歯を」ということになる。インフラ攻撃には、インフラ攻撃。キーウ攻撃にはモスクワ攻撃になる。
余談であるが、現在、10人弱の日本人義勇兵がウ軍で戦っている。多くは元自衛官であり、米英の義勇兵よりも信頼厚い。まじめな戦いぶりと生活態度が高く評価されているようだ。
この義勇兵で、日本の評価も高いことになっている。ガンバレ日本人義勇兵たちよ。
世界の状況
米国は、傭兵企業「ワグナー」を「国際犯罪組織」に指定した。
もう1つ、心配なのが、イスラエルとサウジが連合して、イランとの中東戦争である。イランは、Su-35戦闘機を手に入れて、シリアでの戦争と同じような通常戦争でも負けないと見たら、イスラエルやサウジに攻撃を仕掛けることになる。
イスラエルは、在イスラエル米軍の30万発の弾薬をウクライナに送ることを了承した。イランのドローン対応策にもイスラエルは積極的に機器の提供を開始した。
米国は、イランのドローン工場の破壊を依頼した可能性もあり、この2ヶ国の戦争になると厄介である。
(『国際戦略コラム有料版』2023年1月23日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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