蜜月も終了?プーチンを「気が狂った」と批判を始めた中国・習近平

Russian Federation & China - disagreement, Russia and Chinese flags. Relationship conflict between Russia and China. Trade deal concept
 

プーチンは、習近平の「成功モデル」だった

さて、近藤大介先生によると、習近平には尊敬する人が3人いるそうです。

一人は、お父さんです。習近平の父親、習仲勲は、国務院副総理などを務めた大物でした。

2人目は、毛沢東。毛沢東は、天才的な戦略家でしたが、国内政治は破滅的ダメでした。大躍進政策、文化大革命などで、数千万人が犠牲になった
といわれています。習近平は中国経済を発展させたトウ小平ではなく、毛沢東を尊敬している。そのことが、中国の未来を暗くしています。

3人目がプーチンです。プーチンは、習近平にとって、「成功モデル」でした。習近平がトップになった2012年、プーチンは大統領就任から12年が過ぎていました(正確にいうと、2000~08年大統領。08~12年は首相でしたが)。習近平は、「プーチンをモデルにして、長期独裁政権をつくろう!」と考えたのです。

ちなみに私は、プーチンを現代のムッソリーニ、習近平を現代のヒトラーと呼んでいます。ムッソリーニが首相になったのは1922年、ヒトラーが首相になったのは1933年。ヒトラーにとって、ムッソリーニは、「成功モデル」だった。

同じように、習近平にとってプーチンは、「成功モデル」だったのです。しかし…。

習近平は、プーチンへの信頼を失った

「The Moscow Times」1月10日は、「中国がプーチンへの信頼を失った」と報じています。

≪Сошел с ума≫. В Китае заявили об утрате доверия к Путину

重要ポイントを要約してみましょう。

・中国指導部は、プーチンへの信頼を失っている
・中国の指導部は、プーチンの決定の冷静さと、ウクライナでの冒険の罠から抜け出す能力を疑っている
・中国は、ロシアはウクライナに勝てない可能性があると考えている
・そして、ロシアは戦後、国際社会で政治的、外交的に弱体化した、とるに足らない国家になってしまうと考えている
・中国の当局者は、プーチン個人に対する不信感を認めている
・プーチンは、ウクライナ侵攻の意図について、習近平に話していなかった
・プーチンは、ウクライナがロシア領を攻撃し、人道的惨事を引き起こした時は「措置をとる」といっただけだった
(@北野註 皆さんご存知のように、ウクライナはロシア領を攻撃していません。ウクライナ侵攻当初、プーチンは、「2~3日で終わる」と考えていました。だから、ウクライナ侵攻を「戦争」と呼ぶことを禁じ、「特別軍事作戦」という用語を強制したのです。習近平と話した時は、「措置」といった。つまり、「戦争とか大げさな話ではないのですよ」と。プーチンは当時、そう見ていたのでしょう)
・ある中国の当局者は、ファイナンシャル・タイムズに、「プーチンは、気が狂った!」といった
・さらに「侵略の決定は、ロシアの非常に少数の人々によってくだされた。中国はロシアを理解できない」とも
・中国は今、西側との緊張を緩和し、欧州での地位を強化することを望んでいる
・中国は、停戦の仲介の役割を担うだけでなく、ウクライナの戦後復興に参加する準備もできている。

この記事を読んで、習近平の最近の発言の意味が理解できました。というのも、習近平は、プーチンを批判するようになっているからです。たとえば2022年11月5日のNHK NEWS WEB。

中国の習近平国家主席はドイツのショルツ首相と会談し、ウクライナ情勢を巡って「国際社会は核兵器の使用や威嚇に共同で反対すべきだ」と述べました。

習近平はショルツに、「一緒にプーチンの核兵器使用や威嚇に反対しよう!」と提案した。さらに2022年11月15日の産経。

両氏は、ウクライナ侵略を続けるロシアによる核兵器の威嚇・使用に反対すると強調した。

両氏というのは、バイデンと習近平のことです。習近平は、はっきりとプーチンを批判しています。

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