では、なぜお寺でラーメンを売ることになったのでしょう。
このお寺には、約6万枚の「経版木」が保存されていて、そのうちの約5万枚は、国指定の重要文化財になっています。
初代住職の鉄眼(てつげん)が1681年に完成させたもので、『鉄眼版一切経版木』と呼ばれ、そこに使われている書体やレイアウトは、現代でも広く普及している明朝体と原稿用紙のルーツになったとされています。
それほど貴重なものですが、年数が経つごとに傷みも進んできたため、より一層の保全保護が必要になってきました。
その費用の一部を捻出するために、ラーメンの販売を思いついたのです。
ラーメンは若い人たちにも注目されやすいので、お寺や版木への関心を高める狙いもあります。
いまお寺離れも進んできているので、少しでも興味を持ってもらうことで、仏教文化の衰退に歯止めを掛けたいのです。
ラーメンは、幅広い層の人たちの関心を集めるためには有効な手段だと言えます。
多くの人が注目してくれます。
お寺とラーメンは、異質な組み合わせかもしれませんが、それ故に話題性もあり、注目度も高くなります。
また、お寺であるという特性を逆手に取り、精進料理としてのヴィーガンラーメンを完成させたのです。
ラーメン界の常識を覆したことも、ユニークな取り組みとして、取り上げられるようになった要因です。
“ラーメンでお寺が集客する”。
非常に面白い事例ではないでしょうか。
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