時間に限りがあることを無視。巷の「成功術」が放つ“うさん臭さ”の正体

 

ここでいう「成功術」とは、「こういうノウハウを使うことで私は一切悩みや問題がなくなりました。今ではすごくスムーズに仕事ができています」と謳うノウハウのことです。よくありますよね。

しかしながら、どんなに優れたタイムマネジメント手法を使おうが、有能なツールを使おうが、私たちが限りある存在である点は揺らぎません。何かを欲しても、そのすべてを手にすることはできないのです。だとしたら「悩みや問題」がなくなることもないでしょう。

先ほどのTak.さんの「6つだけ法」(適当に命名)も、それを使うことである程度納得感を持って一日を進めていけるようになるにしても、何一つ「悩みや問題」がなくなるなんてことはないでしょう。むしろ何を残して、何を落とすかでずいぶん頭を悩ませることが起こるはずです。それがごく当たり前の状態だと思います。

一冊の本を書く場合でも同じです。ページ数は限られているので、書きたいことのすべてを書くことはできません。何かの説明を増やせば、別の何かの説明は削除せざるを得なくなります。

また、ある表現を使えばそれ以外の表現の可能性は使えなくなります。初心者向けに書けば書くほど、上級者には冗長な表現になっていくでしょう。そのどちらかを選択しなければなりません。難しいトレードオフがそこにはあります。

著者は最後の最後まで、そういう選択に頭を悩ませます。そうしてその本を磨き上げていくのです──(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2023年1月16日号より一部抜粋)

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1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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