障がい者の法定雇用率アップに企業は不安?定着させるために必要なこと

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現状の2.3%から、3年後には2.7%に引き上げられることが決まった障がい者の法定雇用率。「共生社会の実現」という側面から見ても極めて重要な取り組みですが、企業サイドから不安の声が上がっているのも事実のようです。そんな状況を鑑みつつ、障がい者雇用を社会に定着させるためには企業側の「苦労」を取り除くことも必要とするのは、要支援者への学びの場を提供する「みんなの大学校」学長の引地達也さん。引地さんは今回、自身のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』でその理由を解説するとともに、法定雇用率アップをきっかけにした新しい障がい者雇用支援への期待感を記しています。

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政府、障がい者「法定雇用率」を二段階に分け上げることを決定。関係者周辺がザワザワしている理由

政府が障がい者の法定雇用率を二段階に分けて上げることを決めたことで、関係する企業や支援機関等、障がい者雇用の周辺では何かザワザワした雰囲気になっている印象がある。

法定雇用率が2.7%になるということは38人以上を雇用している企業にその雇用義務が発生することになるから、「そろそろ対応しなくてはいけない」との思いと不安の声を該当する企業の幾人から聞いた。

障がい者が企業で働くことで産業面での共生社会を目指す取組はマクロでみれば誰もがハッピーなキーワードだが、企業の担当者がいざ障がい者雇用に直面すると、未知への対応に気苦労は多いようだ。

その企業側の「苦労」を取り除けば、障がい者雇用は社会に広がり、定着させることになるのだろうから、企業に焦点を当てた支援活動は必須。

この「企業への支援」も念頭に先日、専門家や研究者が集まってこれからの就労支援について話し合う機会を設け、次の支援の形に向けて少しずつ言葉を探し、つなげ始めている作業を開始した。

今考えれば、私が福祉サービスでの支援の世界に入ったのは就労移行支援事業からで、障がい者が企業に就労することで社会参加を活発にしようという機運の中で、「福祉観」が作られたような気がする。

障害者総合支援法が施行され、障害者権利条約を批准するなどで、障がい者の権利が注目されはじめ、障がい者自らの決定を尊重し始めた時期で、就労も自己実現のひとつの形として捉えられていたが、周囲の就労支援の「支援策」は、簡単に言えば「就職試験に受かること」に焦点を当てているように感じ、少々拙速のような印象もあった。

就職しても安定した気持ちで仕事が続けられるように考える支援をするには、自分の見つめ直しや人生についての考え方などにも焦点を当て、長いレンジ・広い視野での就労支援が必要だから、それをひとくくりのキーワードで表したのが「コミュニケーションの改善」であった。

良好なコミュニケーションは生活へのストレスもなくなるし、就労もスムーズであることを何人かの「コミュニケーション改善の支援」事例を積み重ねた。

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