アベノミクスの“二の舞い”か?不安しかない岸田政権「異次元の少子化対策」の大問題

2023.02.16
 

私は、この「結婚でファミリー所得倍増計画」を提起したい。現在の日本社会では、結婚はいわば「人生の墓場」となっている。妻は正規雇用の仕事を辞めて収入ゼロ、あるいは非正規雇用で収入減となりながら、家事を一手に担う。夫も、自由に使える小遣いが激減し、少ない年収で家族を養っていかなければならない。苦行でしかないからだ。

結婚し、子どもを持とうという若者が増えるには、「結婚し、子育てすることは楽しい事」でなければならない。つまり、結婚すれば、夫と妻の年収を合わせれば2倍になり、豊かな人生を送れるという「夢」がなければならない。

「国民に夢を与える」というのが、政治の本質的な役割のはずだ。ところが、日本の伝統的な家族像を守れという保守的な思想に手足を縛られて、本質的な少子化対策から目を背け続けて、若者に苦行を強いているのが、日本の政治の現状ではないだろうか。

「結婚でファミリー所得倍増計画」を実現するために、様々な課題を乗り越えなければならないのはいうまでもない。しかし、政府は徹底した支援策を行えばそれは可能となる。

まずは、「配偶者控除」だ。夫が妻を養う世帯では、妻の給与収入が103万円以下なら夫の所得税計算の際に38万円の配偶者控除が認められ税の負担が軽くなる。逆に、妻の収入が103万円を超えると妻も所得税を負担するため、税の負担が重くなる。これが、女性の労働意欲を阻害していると批判されている。いわゆる「103万円の壁」と呼ばれるものだ。この撤廃が第一歩だ。

また、「共働き」のデメリットをなくす政策が必要だ。「共働き」のデメリットとは、「家事がおろそかになりやすい」「自由な時間がなくなる」「子どもとの時間が減ってしまう」ということだ。要は、共働きが、仕事と子育ての負担増にならないようにサポートすることが必要だ。

まず、いわゆる「保育園の待機児童問題」を完全に解消することが必要だ。保育園の建設を増やす、保育園を設立することの助成、保育士を増やし、その待遇を改善するなどは、最優先に予算をつける政策だ。

企業が、結婚・出産する女性社員を正規雇用し続けることは重要だ。そのサポート体制を構築する必要がある。厚生労働省は現在、「くるみん認定」「えるぼし認定」といった認定制度を設け、女性活躍や育児支援に力を入れている企業に助成金を給付するなどの優遇措置を実施している。

だが繰り返しになるが、日本では女性の非正規雇用者が多く、少子化が進んでいるのが現状であり、両制度が飛躍的な効果を生んでいるとはいえない。効果をさらに高める上では、助成金給付の対象となる企業を広げたり、給付金額を手厚くしたりといったテコ入れが必要ではないだろうか。

また、前述のように、女性が正規雇用を続けられない大きな理由は、年功序列・終身雇用の日本型雇用システムにある。子育てで休職する女性の正規雇用での復職、女性の正規雇用での中途採用、女性の幹部社員としての中途採用、終身雇用の女性の幹部登用を、増やしていくなど、システムそのものの改革が必要となる。

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