アベノミクスの“二の舞い”か?不安しかない岸田政権「異次元の少子化対策」の大問題

2023.02.16
 

日本では、希望しながら結婚できない人、子どもを持てない人たちが多数いる。それには、国際的にみて日本社会特有の現象が背景にある。それは、「女性の年齢別労働化率」のグラフにおける「M字の谷」と呼ばれている現象だ。

「M字の谷」とは「女性の年齢別労働力率」のグラフで、学校卒業後20歳代で労働力率が上がりピークに達し、その後30歳代の出産・育児期に落ち込み、子育てが一段落した40歳代で再上昇する。これが「M字」に似た曲線となるのだ。

重要なことは、「M字の谷」と呼ばれる現象は、日本と韓国に特徴的にみられる現象で、欧米諸国ではみられないことだ。「逆U字型」と呼ばれる曲線を描いている。つまり、一定の年齢層で労働力率が下がることはない。それは、女性の働き方に対して柔軟性が高いことが考えられる。

kmkb20230115-1出典:図録▽女性の年齢別労働力率(各国比較)(sakura.ne.jp)

もちろん、日本でも近年、「M字の谷」が緩やかになってきている。安倍政権下で取り組まれた「女性の社会進出」を促進する政策によって、つまり、日本でも30歳代の出産・育児期に共働きを続ける女性が増えているということだ。

一方、それでも問題がある。そもそも労働力化率が高い「未婚」の女性が増えているという側面もある。そして、それ以上に問題なのは、非正規雇用が増えた結果だということだ。正規雇用は、結婚、出産等とライフイベントを重ねるにつれて、徐々に非正規雇用に移っていくか、離職していく。

kmkb20230115-2出典:男女共同参画局 第1-特-14図 年齢階級別労働力率の就業形態別内訳(男女別,平成24年)

また、女性が結婚・出産で離職した後、正規の職員・従業員としてはほとんど再就職しないという傾向がある。

kmkb20230115-3出典:男女共同参画局 第1-特-16図 女性の年齢階級別労働力率の世代による特徴(雇用形態別) 

この傾向は、「男尊女卑」の日本の文化、伝統だという指摘があるが、より重要なのは「日本型雇用システム」である。年功序列・終身雇用で組織の幹部を育成するシステムだ。このシステムでは、途中で結婚・出産で組織を離れる女性は幹部になれない。

幹部になるには、継続して働き、年功を積んでいく必要があるからだ。一度組織を離れることは、組織の同世代の「出世争い」から離脱することを意味し、二度と復帰することはできない。ゆえに、子育てで一旦離職する可能性が高い女性には、入社時から重要な仕事は任せないということになる。結果、実際に離職した後、正社員で復帰することはなく、中途採用で女性を採用する枠は、極めて狭いものとなる。

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