上記抜粋で、糖尿病でがんのリスクが高くなることの理由が3つあげられています。
1.血液中のインスリン濃度が高いこと
1-1)初期~中期の糖尿病では、インスリン抵抗性があることも多くそのために血中インスリン濃度が高値となります。
過剰なインスリンは活性酸素を発生させて、酸化ストレスとなり発がんリスクを上昇させます。
またインスリンは強力な細胞増殖因子です。それやこれやで、内因性インスリンの発がんリスクは強く疑われています。
1-2)一方、インスリン注射に関しても、ずっと発がんリスクが懸念されていたのですが、ランタスによる大規模な研究が2012年に発表され、無罪となりました。
世界40カ国、573施設から1万2,537人の糖尿病と前糖尿病疾患の患者が登録され、ランタス治療群と標準治療群、それに加えて、ω3脂肪酸の投与の有無を組み合わせた、4つのグループを6.2年(中央値)追跡調査した結果をまとめた、大規模な前向き試験です。
今まで、インスリンの発がん性の有無に答えを与える、これほど大規模な前向き試験はありませんでした。
結果は、がん死、発がん全体でも、部位別(肺がん、結腸がん、乳がん、前立腺がん、メラノーマ、皮膚がん全体、そしてその他のがん)でも、ランタス投与群ではまったく差が認められませんでした。
1-3)ともあれ、糖質制限食なら、追加分泌インスリンは必要最低限となりますので、内因性インスリンによる発がん性はかなり予防可能と言えます。
2.血糖値が高いこと
高血糖により、活性酸素が発生して、酸化ストレスとなり発がんリスクとなります。
一方、食後高血糖が糖質制限食実践により、リアルタイムに改善するので発がんリスクの予防が可能となります。
3.炎症
2型糖尿病では無症状で全身の慢性炎症が認められ、発がんリスクとなるということですが、これはあくまでも、血糖コントロールが良くない糖尿人のお話です。
私たち、糖質セイゲニストの糖尿人は血糖コントロール良好であり、慢性炎症もありません。
また、スーパー糖質制限食なら、ケトン体が高値となります。
ケトン体は近年、心臓、腎臓、脳などの臓器保護作用があることが示唆されており、炎症抑制作用も示唆されています。
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