日本だけがノーガード。TikTokで「中国から情報を抜かれ放題」になった国家の末路

 

中国には、2017年に施行された「国家情報法」という法律があります。この第7条には「いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する」と定められています。

TikTokを運営するのはバイトダンスという会社ですが、同社が中国企業であるかぎり、国の情報活動に協力を行わなくてはならないのです。中国の情報活動とは、つまりは、諜報や宣伝工作です。

TikTokの運営会社がいくら中国政府への情報提供や協力を否定しても、中国の法律がそうなっている以上、無理な話なのです。下手に拒否すれば、アリババグループのジャック・マーのように政府から圧力をかけられ、場合によっては逮捕や死刑もありえます。だから中国政府には絶対にさからえないのです。政府に顧客データの提出を求められれば、従わざるをえません。

さて、日本の動きですが、2月27日、松野博一官房長官は記者会見で、政府職員が使用する公用の情報端末のうち、機密情報を扱う機器を対象に利用を禁止していると述べました。

公用スマホTikTokなど禁止 松野氏、機密情報扱う機器で

「機密情報を扱う機器を対象にしている」とは、ずいぶん緩いと言わざるをえません。本来であれば、欧米同様、すべての公用情報端末で禁止すべきでしょう。

そもそも日本政府は昨年、デジタル庁がマイナンバー普及のために、TikTokと連携して広報動画を作成しました。そのときにも、情報漏洩の懸念から疑問の声が少なくありませんでした。デジタル庁の河野太郎大臣は「機密が漏れるというようなことは全くない。今回の利用について何か問題があるということはないと思う」と述べていますが、どこまで検証しているのでしょうか。

2019年から2021年にかけて、日本上空でたびたび確認された気球について、防衛省は今年2月になってようやく「中国の偵察用気球だと強く推定される」という見解を発表しましたが、これもアメリカ政府がアメリカに侵入した気球を「中国の偵察用気球だ」と断定して撃墜したから、今になって「安全保障上の脅威だった」と言い出したわけで、あまりにも頼りない態度です。

とくに2020年6月に宮城県上空で気球が目撃された際には、やはり当時の河野防衛大臣は「安全保障に影響はない」と説明し、気球の行き先について「気球に聞いてください」と答えていました。

河野大臣が「安全保障に問題はない」と答えた事案が、海外で次々と安全保障の脅威として浮上してきているわけです。あまりに能天気すぎるでしょう。あるいは、やはり父親と同様に媚中派なのでしょうか。

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